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それは私、 ウォーレン・バフェットが 提案したものです39【今週の用語解説】経済ミラクルキャッチ!1 5ウォーレン・バフェットア メリカ の 著 名 な 株 式 投 資 家、経営者、慈善家。大富豪 としても知られる。世界最大 の投資持株会社であるバー クシャー・ハサウェイの最高経 営責任者。地元ネブラスカ州 オマハを中心とした生活を送 っているため、「オマハの賢 人 」と 呼 ば れ て い る 。企 業 の 財務状況や実態価値の分 析を元に、長期的視点に立っ て株式投資をする「ファンダメ ン タ ル 投 資 」を 行 う 。分 散 投 資を行わず、基準を満たした 優れた企業を買収あるいは株 式を大量に取得する、集中的 な投資を行うことで知られている。65 17351017堀古英司ニューヨークに拠点を置く投資顧問会社、ホ リコ・キャピタル・マネジメントLLC最高運用責 任者。テレビ東京「ワールドビジネスサテライ ト」をはじめ、メディアに多数出演。著書に「リスクを取らないリスク」。関西学院大学時代、 アメフト部で活躍。15176583 46102030富裕層に30%の最低税率を 課す「バフェット・ルール」を拡充し、 富裕層の実効税率を上げるべき!33 4 1401 730 30ニューヨークは世 界 経 済 の中心地。せっかくこの地 にいるのだから、株価の動 向、企業の買収や合併、 金利政策などを理解し、 資 産 運 用 に 生 か し た い! 敏腕ヘッジファンド運用マ ネ ジ ャ ー が 、経 済 情 報 の 読み解き方をやさしく解説 する。5646351723Friday, March 25, 2016|Vol. 857|16 BUSINESS堀古英司の第 回 クリントン候補が公約に掲げる税制際、事業や給与で100万 ドルを得ていたら、現在既 に %近くの所得税率が 課せられています。しかしオバマ大統領も演説でこう あらゆる経済活動には リスクが伴います。そして そのリスクを担っているの は資本であり、ビジネスが 上手くいかない時、最も大 きな損失を被るのは投資 家です。一方でビジネスが 上手くいったとしても、現 状でも既に %を引かれ たほぼ半分しか手元に残 らないという状態なのに、 バフェット・ルールが採用さ れると、 %引かれること になります。これではリス クとリターンが見合わず、 なかなか投資をしようと 思わないのではないでしょ うか。投資がなければ経済 の成長も望めません。クリントン候補の公約 バフェット・ルールとは 株式の譲渡益税だと %発言しました。 「高額所得者のバフェッ 最近あちこちから、「な って最も重要な経済への影 ぜあんなに暴言を吐くド 響です。 ナルド・トランプ氏が追い クリントン氏が公約と 上げられるのか」「アメリカ して掲げている税制の一つ は狂っているのではないか」 に「バフェット・ルール」とい という話をよく聞きます。 うものがあります。これは しかし私は逆に、「ヒラリ 年収100万ドル以上の ー・クリントン氏が大統領 高額所得者に、最低 %の になったところで、本当に 所得税率を課す、というも アメリカは良くなるのか」 のです。高額所得者なら という疑問を持っていま %でも低いくらいだ、と思 す。それは国民の生活にと われるかもしれません。実大富豪バフェット氏 富裕層への増税訴え投資がもたらすのは 税収、雇用、消費...で済みます。ト氏の税率が %で、従業 員の税率が %台というの はおかしい。速やかに改正 されるべきだ」 4年前、世界の大富豪に 名を連ねるウォーレン・バ フェット氏はニューヨークタ イムズ紙に「大金持ちを甘 やかすのはやめよう」と寄 稿しました。簡単に内容を 要約すると、バフェット氏 個人の所得税率は ・4% で、 〜 %である社内の 誰よりも低い、議会が 年 間で少なくとも1・5兆ド ルの財政赤字を削減しな いといけない時に大金持ち を甘やかしている場合では ない、所得100万ドル以 上及び1000万ドル以 上の人に対する税率の即 時引き上げを提案する、と いった内容です。 一般の人ならこの発言をなるほど、と思ってしまうかもしれません。しかし金融やビジネスをやっている もちろん経済が絶好調 人ならすぐ、詭弁(きべん) の状態であれば、成長より バフェット氏の税率は %だったのは当時、1年以 上保有している証券などに 対する譲渡益税率が % だった事が影響していま す。現在アメリカの連邦最 高所得税率 ・6%です が、株式の譲渡益がほとん どであるバフェット氏の税 率はこの %に限りなく近 かったという事です。当時 それだけではありませ ん。その投資により新規の 雇用も生まれ、ひいては新であることに気付くはずで す。というのは、バフェット 氏が投資している企業は既 に利益に対して法人税でも再分配を重視して、高額 所得者への課税を強化する というのも考えられるでし ょう。しかしアメリカでは ほぼ 年ぶりの利上げが 始まったばかりで、経済は まだヨチヨチ歩きの段階で す。そのような段階で成長 の芽を摘むような政策は 賢明とは思えません。トラ ンプ氏躍進の理由の一つは、 多くのアメリカ人のこのよ うな考えが後押ししている 結果ではないでしょうか。%払っているはずで、投 資家としてのバフェット氏 は残りの %に対して % を納めています。要するに バフェット氏は資本を投じ ることによって合計 %(1―0・ ×0・ )の税 金を納めているのです。たな消費や投資を経済に もたらしているはずです。 そもそもバフェット氏がそ のような投資を行っていな ければ、アメリカ政府は法 人税の %も所得税の% も 得 ら れていないので す。それどころか、その事業 に伴う雇用も創出されてい なかった事になります。賢明とは思えない 成長の芽を摘む政策