大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
映画監督・鈴木やすさんが、思い出の映画作品を、鑑賞当時の思い出を絡めてゆったり紹介します。
中学校時代、放送係の生徒に好きなレコードをあらかじめ渡しておくと、お昼の食事時間に全校放送でかけてくれた。
当時、大人気だったバンドが「横浜銀蝿」。以前にも書いたが僕はこのバンドが大嫌いだった。来る日も来る日も「今日も元気にドカンをキメたら、ヨーラン背負ってリーゼント、ヘイ!」を食事時間に何度も聴かされた。音楽もファッションもダサくてうんざりしていた。僕と仲の良かった友達3人組はある日、イエロー・マジック・オーケストラの「増殖」というアルバムをかけてもらった。電子音楽とダンスビートに社会風刺の効いたスネークマンショーのコントが間に入るという今まで誰も聴いたことのない新しい音楽世界を創り出したアルバムだ。それを初めて聴いた横浜銀蝿ファンの不良達の抵抗は激しかった。「なんだてこれは? 誰がかけさせたんだて! おめえらだろ! (名古屋弁です)」僕たち3人は横浜銀蝿系不良グループに囲まれて糾弾された。彼らにはYMOは新しすぎて理解不能だったのだ。文化の弾圧である。音楽の趣味が悪ければ、やる事も専制主義国家のようにダサい。僕たちはいわれのない文化の弾圧に根強く抵抗し続けてYMOのアルバムをかけ続けた。今聴いてみると過去40数年のテクノポップからユーロダンスビート、ヒップホップに至る音楽の遍歴のブループリントがこのアルバムに詰まっていたのがよくわかる。
僕は高校生になり、坂本龍一さんに憧れて文化的不良少年になった。授業をサボって屋上でタバコを吸いながらRCサクセションを聴き、学校をサボって映画館でゴダールやアメリカンニューシネマを観て、つまらない授業を無視して吉本隆明や三島由紀夫や村上龍や文芸雑誌「鳩よ!」なんかを机の下で読んだ。
大人になり、ちょうど彼と同じ時期にニューヨークに移り住んだ。90年代当時ソーホーに「本むら庵」という高級なお蕎麦屋さんがあり、お高くてなかなか行けなかったが三回だけ行った三回とも坂本龍一さんがいらっしゃった。お蕎麦が相当好きだったのだろう。憧れの人に出くわしてドキドキした。彼は僕にとって音楽家以上の存在だった。
今回は映画音楽の世界でも存在感のあった坂本龍一さんが手がけた三作品を選んで紹介します。
「戦場のメリークリスマス」
彼の代表作であり、俳優としても出演した作品。北野武もこの作品がきっかけで映画監督の道に進んだ。
「ラストエンペラー」
ベルナルド・ベルトリッチと組んでアカデミー賞作曲賞を受賞した作品。前作に続き俳優としても出演。彼の政治信条とは真逆の実在した軍国主義者の役を演じている。
「レヴェナント」
現在、映画芸術の新しい表現と商業的な成功ができるのはアレハンドロ・ゴン
ザレス・イニャリトゥ監督だ。そんな監督と芸術的に呼応し「バベル」に続いて組んだ作品。
社会活動家としても原発問題、憲法9条改正反対、平和問題、環境問題、被災地への支援などを人生の最後の息まで声を上げ続けた。坂本龍一さんと30年に渡り同じ街で人生を過ごせてとても嬉しい。彼の意思をしっかりと受け継ぎたい。最後の癌闘病はかなり苦しかったと聞いた。今は楽になっている事だろう。天国でも音楽に囲まれて過ごしてほしいと願う。坂本龍一さん、本当にありがとうございました。
追悼 坂本龍一
手がけた映画音楽作品「戦場のメリークリスマス」「ラスト・エンペラー」「シェルタリング・スカイ」「レヴェナント」他多数
鈴木やす
映画監督、俳優。
1991年来米。ダンサーとして活動後、「ニューヨーク・ジャパン・シネフェスト」設立。
短編映画「Radius Squared Times Heart」(2009年)で、マンハッタン映画祭の最優秀コメディー短編賞を受賞。
短編映画「The Apologizers」(19年)は、クイーンズ国際映画祭の最優秀短編脚本賞を受賞。
俳優としての出演作に、ドラマ「Daredevil」(15〜18年)、「The Blacklist」(13年〜)、映画「プッチーニ・フォー・ビギナーズ」(08年)など。
現在は初の長編監督作品「The Apologizers」に向けて準備中。
facebook.com/theapologizers
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