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ニューヨークではインディペンデント映画をたくさん見ることができる環境にある。今回の映画はショッピングモールのシネコン映画館のようなところでは決して上映が掛からないタイプの映画だ。
ニューヨーク州ロングアイランドに住む15歳の少年、ハウイーは母親をロング・アイランド・エクスプレスウェー(L・I・E)での自動車事故で亡くしてから人生の歯車が少しずつ狂い始める。かねてから不仲だった父親のマーティーは妻の事故死の後1カ月もしないうちにガールフレンドを家の中に連れ込み、二人の関係はますます離れていくようになる。ハウイーは札付きの不良少年で親友のゲイリーとの交友が唯一の心の安らぎだ。ゲイリーはハウイーに性的な関心を寄せるがハウイーは自分の性的嗜好がいまだに理解できずにいる。
ある日、ハウイーと不良少年4人は「ビッグ・ジョン」のあだ名を持つゲイリーの知り合いの家に盗みに入り、2丁のロシア製骨董品のピストルを盗み出し、からくも逃走する。数日後、母親の友人を装ったビッグ・ジョンはハウイーに近づき、ピストルを返せと迫る。1丁はハウイーの父親の金を盗みロサンゼルスに逃げたゲイリーが持っている。ビッグ・ジョンはハウイーには返すことができないもう1丁の銃の交換条件に性的な関係をほのめかす。ハウイーの父、マーティーは建築ビジネスの違法行為で逮捕され収監されてしまい、一人残されたハウイーはビッグ・ジョンの家に向かう。そしてハウイーとビッグ・ジョンの複雑な関係が始まっていく。
あらすじを読んで読者の皆さんはどっと暗い気持ちになったと思う。マーベルのスーパーヒーロー映画が好みの映画ファンは足を向けないタイプの映画だと思う。でも僕の心の中にこの映画は深く染み入った。
心の闘い
僕は母親を2回亡くした。1回目はこの映画の主人公ハウイーと同じ年頃の13歳の時、母はひどい脳溢血で8カ月間植物状態になった後に亡くなった。2回目は4年前、僕の養母はうつをこじらせて自ら命を絶った。13歳での母との急な別れの後、思春期の僕は世の中に対しても自分自身に対しても自暴自棄にしか対処することができなかったのだと思う。不良少年仲間と万引きを繰り返すようになり、タバコを吸い始め、飲めない酒を吐いてつぶれるまで飲んだ。
近所では札付きの不良との噂が立ち、父は僕の進路をずいぶん憂いたことと思う。ハウイーの心の揺れ動き、どこにもぶつけることができない怒り、そして性への目覚めと裏切り。この映画を見ながら僕は40年前の少年時代に帰っていた。世の中は完璧な世界ではないし、人生は心地の良いことばかりではない。しかし最近では間違いを犯した人間をとことんまで抹殺しなければ気が済まないような人間が多すぎる。大人になるにつれ数々の失敗から人に迷惑を掛けずに生きていくことは大切なことだと思い知る。それでも人にはそれぞれ本人でさえ理解できない事情があって、それを少しでも理解する努力をしようともしない不寛容な人間ばかりの社会ではいつか人々の心は壊れていく。
人間誰しも他の誰にも理解できない自分だけの心の闘いを抱えている。大切な人間を失ってみて初めてその人の心の闘いに思いを寄せるが、その時にはもうその人はいない。あまり見る人がいなかったこのような映画を忘れることができない僕のような人が必ずどこかにいる。だから自主制作の映画をこれからも作り続けてほしい。
今週の1本
L.I.E.
(日本未公開)
公開: 2001年
監督: マイケル・クエスタ
音楽: ピエール・フォルズ
出演: ポール・ダノ、ブライアン・コックス
配信: Amazon Prime Video、YouTube他
母親をロング・アイランド・エクスプレスウェー(L・I・E)の自動車事故で亡くした15歳の少年ハウイーが経験する心の葛藤と性の目覚め。
鈴木やす
映画監督、俳優。
1991年来米。ダンサーとして活動後、「ニューヨーク・ジャパン・シネフェスト」設立。
短編映画「Radius Squared Times Heart」(2009年)で、マンハッタン映画祭の最優秀コメディー短編賞を受賞。
短編映画「The Apologizers」(19年)は、クイーンズ国際映画祭の最優秀短編脚本賞を受賞。
俳優としての出演作に、ドラマ「Daredevil」(15〜18年)、「The Blacklist」(13年〜)、映画「プッチーニ・フォー・ビギナーズ」(08年)など。
現在は初の長編監督作品「The Apologizers」に向けて準備中。
facebook.com/theapologizers
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