劇作家小川彩氏による『THE NOSEBLEED』が 今年はリンカーンセンター・シアター/LCT3で公演中

アッパーウエスト地区に位置する複合芸術施設、リンカーンセンター内クレア・トウ劇場にて、ブルックリンを拠点に活動する劇作家、小川彩氏の自伝的作品『THE NOSEBLEED』が公演されている。会期は8月28日(日)まで。

©︎ Lincoln Center Theater/LCT3

 

彩さん自ら脚本・監督・キャストを務める同作品は、2019年にザ・パブリック・シアターの演劇祭で初演を迎えた後、2021年にジャパン・ソサエティで短期公演され、ニューヨークタイムズ紙でもその高いパフォーマンスが評価された。多くの評判を得て、今年は長期間での再演が決定した。

『THE NOSEBLEED』では、日本人の移民としてアメリカで育った彩さんと典型的な日本のビジネスマンであった父親との文化的・世代的なギャップをはらんだ関係性、そしてその状況を引きずったまま訪れる父の他界という出来事が彩さんの人生に与えた影響を、独創的で優しく時にダークユーモアを交えて描かれている。

人の死に伴う後悔の念は、誰しもの心の奥底に存在する可能性がある複雑な感情である。本作はこうした問題を抱える者の心を、まるで祈りや許しのように優しく包み込むような演劇体験をもたらしてくれるだろう。

末っ子のケンヤ役を演じる彩さん ©︎Julieta Cervantes

 

『THE NOSEBLEED』

脚本・監督:小川彩

会期:7月16日(土)〜8月28日(日)

時間:月・水〜金:7:00PM〜/土・日:2:00PM〜・7:00PM〜

チケット:$30

場所:Lincoln Center Theater – Claire Tow Theater

150 W. 65th St. (Bet Broadway and Amsterdam) 

 

詳細・チケットの購入は以下のリンクより。

lct.org/shows/nosebleed/

 


小川彩

©︎Will O’Hare

東京生まれ。現在ブルックリンを拠点に劇作家、監督、パフォーマー、翻訳者として活動する。自らの経験に、国際文化、ジェンダーレスの視点を交え、個のアイデンティティをテーマに作品を手掛ける。主な脚本・監督作に『A Girl of 16,oph3lia』 (HERE)、『Journey to the Ocean』 (Foundry Theatre)、『Ludic Proxy』 (The Play Company) など。これまで翻訳を手掛けた多くの日本の戯曲がアメリカとイギリスで公開・出版されている。

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1245

春到来! 週末のプチお出かけ 〜ハドソン川流域・キャッツキル山麓編〜

桜の花も満開を迎え春の行楽シーズンがやって来た。ニューヨーク市内から日帰りできるハドソン川流域・キャッツキル山麓の人気のスポットを紹介しよう。

Vol. 1244

オーェックしよ

コロナ禍で飲食店の入れ替わりが激しかったニューヨーク。パン屋においても新店が続々とオープンしている最近、こだわりのサワードウ生地のパンや個性的なクロワッサン、日本スタイルのサンドイッチなどが話題だ。今号では、2022年から今年にかけてオープンした注目のベーカリーを一挙紹介。

Vol. 1243

お引越し

新年度スタートの今頃から初夏にかけては帰国や転勤、子供の独立などさまざまな引越しが街中で繰り広げられる。一方で、米国での引越しには、遅延、破損などトラブルがつきもの、とも言われる。話題の米系業者への独占取材をはじめ、安心して引越しするための「すぐに役立つ」アドバイスや心得をまとめた。