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編集部員がアートを巡る連載エッセイです。
編集部員A
■外国語学部を卒業し、写真専門学校へ。某新聞社系出版社の写真部を経て、フリーランスのカメラマン兼ライターに。現在、弊紙編集部で書いて撮って編集を担当。趣味は映画と犬の散歩。食べること、飲むことが大好き。
正月休みにメトロポリタン美術館を訪れると、アトラクションに並んでいるかのごとく、長蛇の列ができているエリアがあった。列の先頭までたどるとそこには「Inspiring Walt Disney」のタイトルが。テーマパークに並ぶのですら苦手な筆者は先日、雪の降る平日朝一番を狙ってリベンジしてきた。
この展示は、フランスの装飾美術がウォルト・ディズニーに与えた影響について解説するというもの。同館でディズニーを取り上げるのは初めてだそう。会場に入るとすぐ、ウォルトが旅行でフランスを訪れた時の映像を見ることができる。第一次世界大戦中、赤十字社の衛生兵として赴任を経験したフランスと、ウォルト・ディズニーとの間には深い縁があった。
Selected porcelain figurines
Photo by Paul Lachenauer, The Metropolitan Museum of Art, New York/
Walt Disney Animation Research Library © Disney
その一つがロココ様式。ディズニー作品「美女と野獣」のポット婦人とチップ、置き時計のコグスワースや燭台のルミエールなど、静物に命を宿すというアイデアは、18世紀フランスで流行したロココ様式に影響を受けているという。ロココとはフランス語の「ロカイユ」に由来し、小石や岩、貝殻などを意味する。ロココ様式は貝殻や植物の曲線を多用した装飾、そこから派生した美術様式を指す。当時、水の動きや動植物の装飾をあしらった磁器がはやった。これが原作『美女と野獣』にはない、静物たちを動かすというアイデアにつながったそうだ。
会場にはロココ調の磁器がイラストと共に展示され、キャラクター誕生の過程が解説されている。ディズニーファンでなくても楽しめる展示なので、ぜひ足を運んでみてほしい。
メトロポリタン美術館
1000 5th Ave.
TEL: 212-535-7710
metmuseum.org
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