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ニューヨーク市の5つの地区の中でも一部地域での義務化がスタートしたコンポスト。環境問題に一役買うと言われるコンポストとは? コンポストの始め方からルールまでを解剖しよう。(取材・文 / 菅礼子)
義務化がスタートしたコンポストって一体何?
コンポストとは何か?
コンポストとは「堆肥(compost)」を意味する言葉。家庭内から出る生ごみや落ち葉などの有機廃棄物を堆肥化(有機廃棄物を微生物の力を使って発酵・分解)させ、リサイクルすることで土壌の健康状態を改善し、温室効果ガスの排出を削減することができるなど、環境上のメリットがある。
コンポスト容器の中に生ごみや有機廃棄物を入れると有機物をエサにする微生物が分解し、堆肥化が進むという仕組みだ。生ごみや廃棄物が堆肥に変わることで栄養豊富となり、農業やガーデニングに再利用される。コンポスト容器は、公共の場所に設置されているものや、市より容器を支給され、私有地内に設置するもの、家庭の中に置いて手軽にできるタイプのものなどがある。
市のコンポスト義務化の現状は?
昨年6月にニューヨーク市議会で生ごみと一般ごみの仕分けを義務化するコンポスト条例案「ゼロ・ウェイスト法」が可決され、10月よりブルックリン区、クイーンズ区を皮切りにすでにコンポストの義務化がスタートしている。ブロンクス区、マンハッタン区、スタテンアイランド区では2024年10月から義務化がスタートする予定だ。ルールに従わなかった場合は、2025年春よりニューヨーク市居住者全員が罰金の対象となる。
ブルックリン区、クイーンズ区住民は何をすべき?
クイーンズ区の住民全てがすでにカーブサイドコンポストの利用が可能となっている。落ち葉や庭のごみ、生ごみ、食べ物で汚れた紙類はラベルを貼った蓋付きのごみ箱かDSNY(Department of SanitationNew York)指定の茶色いボックスに入れ、歩道の緑石に置くことが義務付けられている。ごみ箱は55ガロン以下と定められており、毎週リサイクルの日に回収される。余分な落ち葉などは透明のビニール袋に入れなくてはいけない。
ブルックリン区でも同様に落ち葉や庭のごみ、生ごみ、食べ物で汚れた紙類はラベルを貼った蓋付きのごみ箱か、DSNY指定の茶色いボックスに入れ、歩道の緑石に置く。それらは毎週リサイクルの日に回収されることになっている。カーブサイドコンポストの他に、クイーンズ区とブルックリン区の所定の場所に設置されたオレンジ色のドロップオフコンポスト容器を使用することも可能だ。
義務化がまだ始まっていない区の住民がコンポストをしたい場合は?
クイーンズ区、ブルックリン区と同様に現在マンハッタン区、ブロンクス区、スタテンアイランド区の各所にもオレンジ色のドロップオフコンポスト容器が設置されているため、コンポストの義務化が始まっていない同3区の人たちも同様のコンポスト容器に生ごみを入れることができる。
ドロップオフコンポスト容器には2種類あり、専用アプリをダウンロードして24時間いつでも入れることのできるものと、アプリをダウンロードしなくてもスケジュールの範囲内で容器に入れることのできるものがある。
コンポストの設置場所は「NYC Food Scrap Drop-Off Sites」より確認できるが、住宅地を中心にエリアによっては数ブロックごとにドロップオフコンポスト容器が設置されているため、探すのに苦労しないが事前にサイトより設置場所を確認することをすすめる。
コンポストできるものできないもの一覧
OK▶生ごみ(果物、野菜、卵の殻、肉類、魚、骨、乳製品など)、調理済み食品、ピザの箱、コーヒーのかす、コーヒーフィルター、紙製ティーバッグ(ホチキス抜き)、落ち葉、花、羽、キッチンペーパー、新聞など
※地域コンポスト場では、肉、魚、乳製品、食品を汚した紙類を受け入れることができないため、各コンポスト場で確認が必要
NG▶紙おむつ、パーソナルケアプロダクト(石鹸、歯磨き粉、フェイスマスク、シェービングクリーム、シャンプー、デオドラントなど)、動物の排泄物、包装紙、紙以外の包装、発泡製品など
※リサイクルできるものはコンポストせず、リサイクルへ
街中に設置されているドロップオフコンポスト容器はオレンジ色が目印。クイーンズ区、ブルックリン区でスタートしたカーブサイドコンポストは茶色が目印
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