今話題のプランタンニューヨーク
今年3月下旬に、160年の歴史を持つフランスの百貨店プランタン(PRINTEMPS)が、ウォール街に米国初出店を果たした。「百貨店ではない」をコンセプトにした小売りの新時代を切り開く新しいリテールモデルを目指す、今号ではそんな話題のプランタンニューヨークの魅力を探ってみた。
米企業の雇用主が出社を要請するものの、従業員が反対し、自宅勤務やハイブリッド勤務を続ける動きが目立っている。日本は新型コロナウイルスによるパンデミックの後、 日出勤に戻ったようだが、米国の従業員はもう簡単には戻っては来ない。自宅勤務の方が、ライフ・ワーク・バランスが取れて、疲れや精神的ストレスも軽減されているためだ。
米保険大手ファーマーズ・グループは2022年、約2万人の従業員のほとんどに在宅勤務をしてもよいと告げた。このため、勤務地を離れ、他州に引っ越す人もいた。しかし、ラウル・バルガス最高経営責任者(CEO)は今年5月、週3日の出社を要求した。従業員からは強い反対の声が上がっている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。
ランチの時間も観光客が多いレストラン
会社に嘘をつかれた
孫の近くに引っ越し
出社をめぐり、雇用主と従業員が対立する構図は、テスラやウォルト・ディズニー、アマゾン・ドット・コム、そしてニューヨーク市役所など全米各地で広がっている。
ファーマーズのある従業員は、「家を売って、孫たちにより近い場所に引っ越した。会社に嘘をつかれ、それでお金に関する大きな決断をしたことがとても悲しい」と打ち明ける。WSJが入手した社内ソーシャルメディアにはCEOの要求の直後、2000件以上の投稿があり、ほとんどが怒りや悲しみを示す否定的な内容だった。労働組合の結成を求めたり、会社を辞める準備があるという書き込みもあったという。
バルガス氏は、従業員間の「協力、創造性とイノベーション」が必要であり、出社を要求したとWSJにコメントしている。
NY市職員も出勤反対
市の経済にも影響
同様に、ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長は年初から、市職員に週5日出勤を求めていた。ビジネスパーソンを当てにしたレストランなどスモールビジネスの売上が自宅勤務の影響で、パンデミック前の水準に戻らないためだ。しかし、市職員の猛烈な抗議に遭い、市長は 月から週2日の在宅勤務を認めると方針転換した。
市内は人であふれ、マスクもほとんど見かけなくなり、パンデミック前に戻ったかのような光景が広がる。しかし、ビジネスパーソン相手のレストランでは、かつての賑やかなランチタイムは戻ってこない。国連本部やニューヨーク州事務所があるミッドタウン・イーストのアイリッシュバー「ブラックシープ」ではかつて、ランチタイムにバーテンダーのほか、サーバーが2人必要だった。今は一人がバーテンダーもサーバーも兼任する。同様に、クリーニングショップ、花屋、靴磨き屋も厳しい経営が続いている。
全社員の出社が今後は戻らないと見込み、より小さなオフィスに引っ越す企業もある。インパーソンの取材に行ったオフィスで、取引先だけがポツンと出勤し、会議室以外は真っ暗だったりする。
大都市の姿が変わる
空室、閉店続く
グランド・セントラル駅の近くでオープンしたものの、8割が空室という大型オフィスビルもある。グランド・セントラル駅の地下にあるフードモールでは、いまだに3分の1ほどのフードベンダーが閉店したままだ。
前出のファーマーズも含め米企業には、パンデミック中に自宅勤務を条件に契約し入社した社員も多くいる。彼らは、自宅勤務を契約で正当化できる立場だ。ある日系企業がインターンを募集したところ、「自宅勤務が条件」という応募が半数以上を占めたという。いまや、自宅勤務やハイブリッド勤務で、仕事と生活、メンタルヘルスのバランスを取るのが当然となってしまった。
一方、雇用の状況は売り手市場が続いている。雇用主がかつてのような出社を求めても、社員の勤務形態に関する観念を変えるのは困難だ。逆に会社を辞められてしまう懸念の方が大きい。
これに伴い、ニューヨーク市のレストランなどスモールビジネスは、将来のビジネスモデルを変えていかなくてはならない。ビジネスが集まり、発展してきたニューヨークのような都市の姿も、大きく変化を迫られている。
津山恵子
ジャーナリスト。
「アエラ」などにニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOなどにインタビュー。
近書に「現代アメリカ政治とメディア」(東洋経済新報社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
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2023年に渡米しӌ
ニューヨーク&#
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