ニューヨーク仕事人名鑑

ニューヨーク仕事人名鑑 #48 角野隼斗さん

困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。


クラシックの世界三大コンクールであるショパン国際ピアノコンクール(2021年)で、セミファイナリストという快挙を成し遂げた角野隼斗さん。クラシックの世界で華々しい活躍をされる一方、「Cateen(かてぃん)」としてYouTubeでゲーム音楽やポップミュージックのピアノアレンジ、即興演奏などジャンルレスな音楽を発信し、老若男女問わず注目を集めている。チャンネル登録者数は120万人に達し、総再生回数は1億5000万回超(2023年5月現在)。コンサートを行うとチケットは即完売という、日本で大活躍中の異色のピアニストが今年4月、ニューヨークへ移住した。

ジャンルを越えた独自の活動スタイル

ピアノ講師である母親の影響でピアノを始めたのは3歳の頃。「楽しむことを第一」に、幼少期から基礎を叩き込まれたおかげで絶対音感を持ち、聞いた音楽を即興で演奏できる技術を身につけた。テレビで流れる音楽を自分で弾いてみたり、それにアレンジを加えてみたり、さらには自分で作曲してみたり…とピアノの世界に引き込まれていったという。一見ピアノ一筋の生活かと思うが、実は学生時代には音ゲー(音楽に合わせてパネルを手で叩くゲーム)にどハマりしたという角野さん。「センター試験の4週間前に音ゲーの全国大会があったんですが、未成年の出場には親の同意書が必要で。当時模試の結果がよかったので、それと共に同意書を親に差し出してなんとかサインをもらいました」。ゲームの世界でも全国大会に出場とは、どのフィールドにおいても突き詰める精神が感じられる。

高校卒業後は、東京大学へ進学。大学院在学中には、ピティナピアノコンペティション特級グランプリを受賞し、本格的に音楽活動を開始した。活動の幅は一般的なクラシックコンサートだけにとどまらず、紅白歌合戦への出演、ジャズクラブや野外音楽フェスでのピアノ演奏、2021年にメジャーデビューを果たしたバンド「Penthouse」のメンバーとしての活動など多岐にわたる。

刺激と更なる成長を求めニューヨークへ

日本で多忙な生活を送る角野さんが、初めてニューヨークを訪れたのは昨年4月。「何の予定も入れずにただ1週間過ごしました。アウトプットばかりの疲弊した毎日に対し、滞在中はインプットできる機会がたくさんあって。そういう時間が自分には必要だなと思って、海外移住を決意しました。僕は好奇心で動くタイプなので、それが音楽にも還元されると思います」。ニューヨークという土地を選んだ理由は、「僕はクラシックの世界で育ってきましたが、ジャズやミニマルミュージック、いろんな音楽に興味があって。ニューヨークには何でもあるから、それがすごく刺激的。あとは、僕が好きな作曲家の一人であるガーシュウィンがニューヨーク出身っていうのも理由の一つですかね」と話す角野さんは移住後、早速さまざまなジャンルのライブやコンサートに足を運んでいるそう。

今後のニューヨークでの活動については「僕の頑張り次第ですね。いつかカーネギーとかで出来るといいですけど」と展望を語った。音楽好きの人はもちろん、クラシックに精通していない人までもを惹きつける彼の演奏を、芸術の街・ニューヨークで聴ける日も近いはずだ。

 

 

 

角野隼斗さん
ピアニスト

来米年: 2023年
出身地: 千葉県
好きなもの・こと: 楽器集め
特技: 計算

1995年生まれ。
さまざまなコンクールで多数の入賞経験を持ち、ピアニストとして国内外でコンサート活動を行う傍ら、YouTuber「Cateen(かてぃん)」やバンド「Penthouse」のメンバーとしての顔も持つ新時代のピアニスト。
hayatosum.com

 

 

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