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第80回 ヴィッセル神戸 vs FCバルセロナ

FCバルセロナ、4年ぶりの来日を発表

スペイン、ラ・リーガのFCバルセロナが4年ぶりに来日し、アンドレス・イニエスタ選手所属のヴィッセル神戸と親善試合を行うことが決定しました。試合は6月6日に国立競技場で開催されます。親善試合を実現することを英語で「マッチメーク」と言いますが、その裏側には、多くの要素が絡んでいます。私自身、FIFAマッチエージェントという、国際サッカー試合を企画・調整し、FIFAの規則に従って運営を手配する公認の仲介者であり、今回はこの国際試合に関するお話をしたいと思います。まず、なぜこの親善試合を行うのか、その理由やストーリーをきちんと組み立てることが重要です。例えば、姉妹都市同士のチームが対戦し、都市間の交流に寄与するなど。ストーリー性がある試合は、ファンや選手にとっても一層楽しめる試合が実現できます。

FCバルセロナ

次に、招待をするチームにかかる経費を算出する必要があります。出演費、滞在費、飲食費、航空券代などの移動費、チームが遠征をするのにかかる費用がまず存在します。もちろん、遠征に参加をする選手の人数や、飛行機のクラスも決めないといけません。さらに、試合会場や練習会場を抑える費用、練習に使用する器具や飲料、補助スタッフ、バス、レンタカーなどの費用も計算に含めます。また、宣伝広告費、試合の運営費、試合がキャンセルになった際の保険料など、多岐にわたります。

特殊なポイントとしてはファンがお目当てとするスター選手の試合への出場に関しての取り決めもあります。怪我の状況や、他の大会とのスケジュールの兼ね合いもありますが、せっかく海外から有名チームを招聘しても、スター選手が試合に出場しないと観にくるファンはがっかりします。

これらの予算を算出した後には、収入の試算を行います。スポンサーはいくら集まるか、放映権は売れるか、マーチャンダイズなどのグッズは売れるか、などを検討します。最も重要なのは、先述した親善試合のストーリーとも関連しますが、どのスタジアムでこの親善試合を開催するのかを決めないといけません。スケジュール的にスタジアムが空いているのかも前もって確認します。続いて、座席数に応じてチケットの平均価格を決めます。この価格もファンが大勢見に来れる適正な価格なのか検証をした上で決めないといけません。とても高い価格にしてお客さんが全然来れなければ本末転倒です。経費をカバーするだけの収入が見込めない場合、他社からの出資を募ったり、チケット価格を上げるなどの調整が必要となります。

親善試合は単発なのか、毎年継続して開催するイベントなのかによっても事業計画が変わり、長期的な視点から収益性を評価することが重要です。親善試合は、サッカーチーム間の交流を促進し、競技レベルの向上にも寄与します。また、国際試合は地域経済の活性化や観光振興にも繋がるため、継続的に開催される場合、地域社会にも大きな影響を与えます。

今回の試合は、イニエスタという共通のキーパーソンがいることで、両チームのファンにとって興味深い対戦となるでしょう。彼にとって感慨深い瞬間であり、他の選手たちにとっても、イニエスタというレジェンド選手との共演が貴重な経験となると思います。

海外からのクラブが親善試合を行う際、ファンにとっては楽しみである一方、その舞台裏のカラクリも理解しておくと、チケットの値段がどのように設定されているかなど、ビジネスの側面も見えてきて興味深く試合観戦できます。これらの要素を総合的に考慮しながら、マッチエージェントは最適なマッチメークを行います。

さらに、こうした親善試合の開催は、地元の子どもたちにとっても大きな刺激となります。将来のサッカー選手やファンを育成する上で、世界のトップクラスの選手たちと触れ合うことができる貴重な機会となるでしょう。地元クラブとのコラボレーションを通じて、子どもたちに夢や希望を与える役割も担っていくことも重要です。

今後も、私たちマッチエージェントは、国際親善試合の成功に向けて努力を続け、多様な文化や価値観を持つチームが競い合い、新たな交流や経験を通じて、世界のサッカーシーンがさらに発展していくことを期待しています。

 

 

 

中村武彦

青山学院大学法学部卒業後、NECに 入社。 マサチューセッツ州立大学アマースト校スポーツマネジメント修士課程修了。メジャーリーグサッカー(MLS)、FCバルセロナなどの国際部を経て、スペインISDE法科学院修了。FIFAマッチエージェント資格取得。2015年にBLUE UNITED CORPORATIONを設立。東京大学社会戦略工学部共同研究員や、青山学院大学地球社会共生学部非常勤講師なども務める。

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