大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
スポーツビジネスにおいて、欧米の違いを人によく聞かれる。そして、多くの読者もきっと「何が違うのだろうか?」 と思っていることでしょう。ということで、前回より、スポーツビジネスの源流を辿る内容を書かせていただいております。
前回は、どのようにしてイングランドでサラブレッドのレースが地元の行事事から産業革命の影響で拡大し、他の都市などと対外試合を行うようになったかに関して説明しました。この流れで、新大陸米国に移住し始めた人々と共にサラブレッドのレースも移行するのかと思いきや、そうはいきませんでした。
移民の国とイベント運営の原点
移り住んだ米国は現在同様に移民の国であり、欧州に昔から存在した階級もそこまで存在しなかったのです。
コミュニティ・イベントとして一部の特権階級の人たちが会費で楽しんでいたサラブレッドのレースも、米国では日常の生活に必要な馬車のレースへと姿を変えたのです。これにより、レースが一部の人のものではなく、皆のものへと変容します。そしてレースも地元のコミュニティの会費で支えられるのではなく、レースを観戦したい「ファン」からのチケット代へと変わりました。言い換えるとレースを執り行うための胴元(興行主)が登場し、お金を払ってくれるファンに目を向けるようになったのです。これにより、いかに観戦に来てくれた人たちを楽しませるか、も大切になり、人気ジョッキーや、名勝負を仕掛けることになっていきました。ただ、度が過ぎ、八百長なども頻発し始めたため、レースは信用を失い、人気も減退していきました。
しかし、ここで発達したイベント運営などの基本要素は米国の国技とも言える「ベースボール」に受け継がれていきました。とは言え、初期時代は、しっかりとしたビジネスストラクチャーもなく、勝てばお客さんが来てくれ、負ければ来てくれない、という非常に不安定なものでした。それゆえ、選手たちも全員がプロ契約をしてもらえるわけでもありませんでした。
プロリーグの原点と確立したビジネスモデル
1870年代頃から「スポーツも企業経営的な視点が重要」という考えが芽生え、『リーグ』という概念とともに次のような基準が作られました。
・チームは勝手にリーグを脱退できない
・年間を通して決まった数の試合を戦う
・勝手に他のチームの選手を引き抜いてはいけない
・テリトリー毎に1チームしか存在してはいけない
など、試合の時はライバルですが、リーグとしてチームは皆ビジネスパートナーでもある、というスポーツビジネス独特のモデルが出来上がっていきます。
決定的な欧米の違い
チームへの投資が進むにつれ、米国ではチームが移転をすることも多発していきます。例えばロサンゼルス・ドジャーズは元々はブルックリン・ドジャーズであったことは有名な話です。これは決して欧州ではおき得ないことです。
その地元のシンボルでコミュニティのために存在するチームが、他の都市に移転することなどあり得ないからです。
例えば、歴史的に圧政に耐え、カタルーニャ地方のシンボルとしてここまで存在してきたFCバルセロナがマドリッドに移転をするなどあり得えないように、「地元のための欧州」と「投資対象としての北米」におけるスポーツビジネスの差は顕著になってきます。
チームが移転をすると色々なことに困ります。真新しい移転先でゼロからファンやスポンサーを獲得しないといけません。では、新しいチームは何を売ることができるのか? 勝利ではないですよね。 勝利は確約できないので、それ以外に何を売るのか? ということがポイントとなるのです。
これらをきちんと体系立てて、学問として習得しなければならない、という気運が高まり、1966年に世界で初めてオハイオ大学に「スポーツマネジメント」という学部が設置されたのです。このように、スポーツビジネスはまだ新しい分野なのです。これを読んで下さる読者の方々に、少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。
中村武彦
青山学院大学法学部卒業後、NECに 入社。 マサチューセッツ州立大学アマースト校スポーツマネジメント修士課程修了。メジャーリーグサッカー(MLS)、FCバルセロナなどの国際部を経て、スペインISDE法科学院修了。FIFAマッチエージェント資格取得。2015年にBLUE UNITED CORPORATIONを設立。東京大学社会戦略工学部共同研究員や、青山学院大学地球社会共生学部非常勤講師なども務める。
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