ウイスキーといえば、近年ジャパニーズウイスキーが世界で注目を集め、希少価値も上がっているようだ。ウイスキーには、シングルモルトや、ブレンデッド、グレーンなど種類によって味が異なり、銘柄ごとの個性を楽しめるのも魅力だ。そこで今回は、ニューヨークでウイスキーの魅力を再発見してみよう。
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野球ではワールドベースボールクラシックの話題で、そしてサッカーではワールドカップが今年開催されます(女子のFIFAワールドカップ)。スポーツビジネスにおいてよく、この2つのスポーツに関するお話をすることが多いのですが、よく欧州のスポーツと北米のスポーツの違いに関して質問をいただきます。異なるスポーツでの比較は容易ではありませんが、特にサッカーにおいては同じスポーツ故にその違いを顕著に感じることが多くあります。
特に私自身、アメリカのプロサッカーリーグであるメジャーリーグサッカー(MLS)と、スペインのFCバルセロナの国際部に勤務をしていた時に一際この違いを感じたものです。この違いを講義などで説明をする上で、スポーツビジネスの歴史を紐解くことが大切になってきます。
かつては貴族社会のエンターテインメント
スポーツビジネスに登場する色々なリーグ構造や法的な制度、ビジネス手法が入り組み、複雑ですが、その始まりは約150年前のイングランド(現代スポーツの発祥の地)と言われています。この時の主役は「サラブレッド」の競走で、馬質の品評会のようなものでありました。
ビジネスというよりは地域の貴族社会における地位や品格を示すもので、余興で、勝敗はもちろん追い求めますがお金のためよりも名誉のためであり、エンターテインメントでありました。
レースはローカルで、お互いにお互いを知っているような状況下で開催され、階級社会にある一部の人しか加入できない限定的な「メンバーシップによるクラブ」でした。
競争などは年に数回しか開催されず、クラブのメンバーが一同に介する時のイベントとしての位置づけで、「メンバーの会費」で全て賄われ、観戦料を徴収することもありませんでした。このサラブレッド競争のクラブ流儀が、その後様々なスポーツの運営にも流用されていくこととなります。
統括機能を生み出した「ジョッキークラブ」
変化のきっかけとなったのは産業革命で、サラブレッド馬の競争の人気はイングランド中に広まり、鉄道の発達に伴いローカルな地元の余興が国内全土に広がりを見せはじめました。
内輪のイベントが次第にあまり知らない人たちとレースをすることになり、地元のプライドも出て来ることとなります。
ローカルなイベントが全国区に拡大し、様々なルールや紛争を解決するための統括機能が必要となり、「ジョッキークラブ」というものが登場しました。ルールの制定、スケジュール管理、紛争解決、出場規約の制定、審判の認定、罰則規定の制定など、レースが拡大することで、ハンデ、解説書、抽選、ストップウォッチの導入、レース の距離の標準化、など様々なものが登場します。ローカルチャンピオンが集う全国大会の定期開催へと発達をしていくこととなり、ボクシングや他のイングランドスポーツの模範となっていくことになりました。
このように欧州では今でも「地元・地域を代表する」、という意識と、そこにいるロイヤルなメンバーたちによって支えられている非営利という基本的な形が一般的です。
FCバルセロナの会長及び幹部も選挙で選出され、お給料は受け取りませんし、ソシオと言われる会員たちがクラブの重要な決定権を保有しています。
このように欧州「クラブ」の特徴は多くの地元のメンバーのために存在し、メンバー向けにレクリエーションスポーツの提供や、ユースチームやアマチュアチームなど皆のために存在します。それ故、欧州のサッカークラブの名前にはよくAC(アスレチッククラブ)や、SC(スポーティングクラブ)などの略語を含むことが多いです(例:ACミラン、ASローマなど)。
同時にあまり「チケットを販売しないと!」という意識は強くはなく、エリート意識・ステータスを自チームやスポーツイベントを通して維持しようとするので、試合に負けるということは並大抵の悔しさではありません。
次回のコラムでは舞台をアメリカに移したスポーツビジネスの歴史に触れたいと思います。
中村武彦
マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。現東京大学社会戦略工学研究室共同研究員。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。
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