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欧州のサッカーリーグでは冬が中断期間となっているリーグが多く存在します。この期間に、選手たちがチーム間を移籍しても良い期間が設けられており、この期間のことを「移籍ウィンドウ」と言います。選手が移籍をする際には、選手を獲得する側のチームから選手を取られるチームに「移籍金」という名のフィーが支払われます。これは、移籍する選手の市場価値であり、今までチームが色々な投資をその選手にしてきたものを回収するためのフィーとなります。
複数の選手が同じ選手を競うと、このフィーは競争の原理で吊り上がってしまったりします。この冬、英プレミアリーグにおいてこの移籍金の総額が$983・5Mに達したと発表されました。要するにはそれだけ多くの選手が移籍をし、それに伴う移籍金が多く支払われた、ということになります。
スポーツビジネスにおける主な収益源はこのコラムでも連載してきましたが、①チケット収入、②スポンサーシップ収入、③放映権収入、そして④スタジアム収入(駐車場代、グッズや飲料など)に大別されますが、最近では移籍金が5つ目の収入源として注目され始めています。上記の①~④の売上が中々伸びなくとも上手に選手を育てて、移籍させることでたくさんの移籍金を手に入れることでチームの経営を安定させようとしているチームも多くみられるようになってきました。例えばポルトガルのSLベンフィカというチームは過去10年間で1000億円以上を移籍金から得ています。そのためにも選手が若いうちからスカウティングをし、育成をする術がないと上手くいきません。
テクノロジーの導入で選手を数値化
移籍金を収入源にできるようになってきた背景の一つにはテクノロジーの進化が挙げられます。今までは目利きのスカウトの判断によって若い選手の発掘に頼っていましたが、テクノロジーの発達により、客観的に選手の能力の数値化が可能になってきました。もちろんテクノロジーが全てをお見通しできるわけではありませんが、主観と客観の融合により、良い選手を見つけられる確度が高まりました。また数値で選手を表現できる部分も出てきたことで、似たような選手同士の移籍金の客観的な値付けもできるようになってきました。
例えば選手Aが1億円の移籍金で移籍をした場合、この選手Aに類似したデータをもつ選手Bの移籍金も1億円近い値段になるのではないか、という仮説が立てられるようになったのです。そしてもちろん我々が日頃から慣れ親しんでいるSNSと同様にテクノロジーの発達で世界中のチーム同士が直接繋がることが可能になってきたことも大きな要因となります。
今までは特定の代理人などを介してでないと他の海外のチームと接触できなかったものが、チーム同士が直接繋がることができるようになったことで、移籍も活発化していきました。これらの背景も後押しをし、チームの選手の管轄をする人材も求められる能力に変化が見られるようになってきています。サッカーのことを理解していることに加えて、データなどを活用して客観的に選手の評価もできるようにならないといけないことになり、これに長けているチームは5つ目の収入源として選手の移籍金を獲得できるようになってきています。
期待が高まる次世代の収入源
昨年より、私も日本の女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)の国際アドバイザーに就任をし、この収入源の可能性を探るお手伝いをさせていただいております。元々メジャーリーグサッカー(MLS)勤務時代に10年近く選手の移籍に関する仕事にも従事をしていた関係上楽しみです。特に日本の女子サッカーの国際的なレベルや評価は高く、これがWEリーグのチームにとっての次世代の収入源になることを期待しております。
スポーツビジネスはユニークな面が多く、本コラムでも色々とご紹介をさせていただいておりますが、皆様もスポーツの試合を観戦する際に、この若い選手気に入ったなぁ、などと思われたら数年にわたって注目をし、移籍をした際にどれくらいの評価になったのだろうか? などと考えながら見るとまた違った面白みもあるのではないかと思います。
中村武彦
マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。現東京大学社会戦略工学研究室共同研究員。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。
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大正15年創業の
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女子プロレスの窮地に彗星のごとく現れた「ビューティ・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」を覚えている人も多いだろう。1987年からWWEに参戦し海外での活躍を牽引したJBエンジェルス(山崎五紀&立野記代)、94年には女帝ブル中野がWWEに参戦しWWE世界女子王座を獲得するなど大活躍。女子プロレス先進国である日本のレスラーたちは、つねに世界の女子プロレスを牽引する存在だったのだ。そして長い年月を得て再び、日本の女子プロレスが海外で注目されているその実態を取材。