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サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会決勝、アルゼンチン代表がペナルティキック(PK)戦の末にフランス代表に勝利し、W杯では3度目の優勝を飾りました。これで、アルゼンチン代表のキャプテンである、リオネル・メッシ選手は、世界年間最優秀選手賞(バロンドール)7回、チャンピオンズリーグ優勝4回、コパ・アメリカ優勝1回、FCバルセロナでスペインリーグ優勝10回、パリ・サンジェルマンでフランスリーグ優勝1回という経歴に、W杯優勝を加えることになりました。今まで色々とメッシ選手が本当に世界一の選手なのか? という議論が起きてきましたが(私は紛れもなくその通りだと思いますが)、今回のW杯優勝で、彼が史上最高のサッカー選手であることがより一層強調されることになったと思います。
2026年W杯開催地は再び北米へ
今回の大会はビジネス的な観点から言いますと、W杯史上3位の観客動員数(約340万人)を記録したと言われています。ここまで長らくその記録を保持している1994年のアメリカ大会の記録(約360万人)を塗り替えるにはまだ足りませんでした。ここで面白いのが、次の2026年W杯は再び北米に戻ってくる点です。とはいえ、1994年大会の時のようにアメリカ単体での開催ではなく、史上初めて、開催がアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で共同開催されることになっています。合計16の都市で試合が開催され、アメリカでは、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ダラス、ヒューストン、カンザスシティ、フィラデルフィア、アトランタ、マイアミ、ボストン、ニューヨーク・ニュージャージーが開催都市となり、メキシコは、モンテレイ、グアダラハラ、メキシコシティーになる。そして、カナダではバンクーバーとトロントがメインの会場と決定しています。
48チームの競技形式における3つの可能性
また、2026年のW杯には、1998年以降の過去7回の大会より16チーム多い48チームが参加することが初めて決定しています。参加チーム数が増加することで、FIFAのサッカー競技部門によると、現在48チームが参加している大会の競技形式について、3つの可能性を検討しているとのこと。
次回のワールドカップのモデルは、2023年中に決定される予定です。現状は32チームを4チームずつ8グループに分けて上位2チームが決勝トーナメントに出場する場合はベスト16から決勝トーナメントを行うことができまずが、48チームを4チームずつに分けますと12グループでき、上位2チームが決勝進出をしますと、24チームによるトーナメントとなってしまい公平性に欠けることとなります。そこで、いろいろな案が議論されていますが、その内の一つが、3チームずつ16グループに分け、上位2チームが決勝トーナメントに出場をするとベスト32から開催できると言うものが有力と言われています。但し、この弊害は3チーム中、2チームが試合をしている時、1チームは試合がないので、試合結果に合わせて決勝トーナメントの組み合わせを予想しながら試合結果を操作できる可能性が出てくるのではないか、と懸念される声もあります。
記憶に新しいのは2018年ロシアW杯に際して日本代表とポーランド代表が共に予選突破のために試合を曖昧にして終えたものが挙げられます。試合数を増やせば、それだけチケットも、スポンサーも、放映権も売れ、ビジネス的には旨味があるものの、それだけ大会期間も長引くことになり、選手への負担も、そして選手たちが普段所属しているチームやリーグにも迷惑がかかることとなります。それ故、いろいろな調整がまだまだ必要と言われていますが、実はこれは4年後の話ではなく、3年半後の話になるのです。
今回のカタール大会は通常通り夏に開催するにはカタールの気候が暑すぎるため、W杯史上初めて冬の開催だったので、既に2026年大会に向けて3年半しかないことになります。3年半後にニューヨーク・ニュージャージ、もしくは他の開催地で私たちがこの大会をスタジアムで観戦する際にはどのような大会になっているのか非常に楽しみです。
中村武彦
マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。現東京大学社会戦略工学研究室共同研究員。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。
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