Akoの真っすぐ俳優道inニューヨーク

Akoの真っすぐ俳優道inニューヨーク 第12回

異なるジャンルで活躍する当地の日本人が、不定期交代で等身大の思いをつづる連載。


劇場設計家で生粋のニューヨークっ子のジョシュア・ダックスと1999年に結婚。共通の友人である女優のシンディ藤川とべリーナ・ハス・ヒューストン作の「心」という芝居で共演したのがきっかけだった。

2人とも晩婚だったので子供はいないが、驚くほどに同じ価値観を共有していて、特に音楽は、なぜこの曲知ってるの? と驚かれたこともたびたびあり、コロナで毎日ずっと一緒だったけれどもおかげさまでとても仲良くやっている。

ルシル・ローテル演劇部門主演女優賞にノミネートされる

脚本家のリア・ナナコ・ウィンクラーとあるアジア系演劇人の会合で出会い、オフブロードウェーのアンサンブル・ステューディオ・シアター制作の「ケンタッキー」のオーディションへ招待され、出演が決まった。

これはリアの家族をもとに書かれた作品で、私はリアのお母さまがモデルのまさこ役で出演。その後次作の「ゴッド・セッド・ディス」プライマリーシアター制作で、、オフブロードウェーの演劇賞ルシル・ローテル演劇部門主演女優賞にアジア人で初めてノミネートされた。

日米両語の劇団の設立Amaterasu Za

ニューヨークを基点に俳優として30年余を過ごし、さまざまな映像や舞台の仕事をしてきたが、アジア人女性の出演する脚本、演出家、プロデューサー、キャスティングの好みで配役されるのを待たなくてはならない。米国ではマイノリティーで役も少なく、自分の人生を他人次第のプロセスに任せるのに納得がいかなくなり、また、制作したい演目や演じたい役柄もたくさんあったので、2018年に日米バイリンガルの劇団Amaterasu Zaを設立した。

私が、日本とニューヨークで得た経験や素晴らしい先生方から学んだことを若い俳優たちに少しでも伝えたい思いで、週一回のクラスAmaterasu Za “workout session”を続けている。

これまで、近松門左衛門の「冥土の飛脚」をもとに「Courier of Love」を英語で日本から招聘(しょうへい)した義太夫三味線の鶴澤津賀花さんに、英語のセリフと義太夫三味線のコラボを試していただき、三島由紀夫の近代能学集から「班女」と「葵の上」の公演、コロナで公演ができなくなった時は、ズームで「マクベス」と女性版「オイディプス王」を配信し、全ての作品に大好評をいただいた。

次作は22年の10月18日から11月11日まで、「CHUSHINNGURA-47 Ronin」をニューヨーク53丁目のARTNY Mezzanineで、日本語で英語字幕付きで公演する。企画、脚本、演出、出演といくつもの帽子をかぶって奮闘している。また主人の助けで申請したいくつかの団体からの助成金もいただくことができ、なんとか赤字もそれなりに、公演ができそうである(笑)。

俳優の髪を結う床山(とこやま)の奥山さんも日本から参加してくださり、書家の小野崎啓太さんが素晴らしい題字を書いてくださり、ワクワクしている。今から300年以上前の超封建的な時代に、政府の理不尽なパワハラに屈せずに立ち上がった人たちの、皆さまよくご存知のお話。多分ニューヨークでは初めての現地発の時代劇である。

シリーズ「将軍」への出演

この「CHUSHINGURA -47 Ronin」のワークショップが終わった21年6月に、春からオーディションを受けていたシリーズ「将軍」への出演が決定した。役は北の政所がモデルの「伊予の方」、日本を出てから、一度火曜サスペンスのニューヨークロケで緒方拳さんと共演した時以来、久しぶりに日本語で芝居をした。主演の真田弘之さんがプロデューサーも兼ねていらして、素晴らしい作品になった。
この「将軍」に幸運にも出演させていただけて本当に感謝している。来年に米国はFX/HULU、日本ではDisney+で放送されるようだ。

■ ■ ■

後記:今回で私の連載は終了です。まだまだ私の俳優道は果てしなく続いておりますが、一歩一歩、歩き続けてまいります。今まで読んでくださった皆さまに心から感謝致します。また、秋の「CHUSHINNGURA-47 Ronin」は皆さまからのご支援なしには成し遂げられませんので、温かいご援助をよろしくお願い致します。

amaterasuza.org

 

 

Ako (あこ)

宝塚音楽学校在籍中に毎日音楽コンクール声楽部門4位入賞。
同校を主席卒業後、歌劇団月組(芸名=夏海陽子)で新人賞、歌唱賞など受賞。
退団後は、NHK歌唱コンクールに入賞。
TV・舞台に出演後、ニューヨークに渡る。
2019年にはPrimary Stagesの「GOD SAID THIS」のまさこ役で、ルシル・ローテル主演女優賞にアジア人で初ノミネート。
18年に日米両語の非営利劇団「AMATERASU ZA」を立ち上げ、芸術監督を務める。今年放映予定のFXのTVシリーズ「SHOGUN」への出演も決定。

ako-actress.com

 

 

お知らせ
新作公演、準備中!

Akoさん率いる非営利劇団「AMATERASU ZA」は、2022年後半に新作舞台「忠臣蔵 四十七士」を上演予定です。現在、絶賛稽古中! 続報はウェブサイト(amaterasuza.org)を参照ください。また、同劇団はウェブサイトで寄付も受け付けています。

 

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