Akoの真っすぐ俳優道inニューヨーク

Akoの真っすぐ俳優道inニューヨーク 第11回

異なるジャンルで活躍する当地の日本人が、不定期交代で等身大の思いをつづる連載。


この連載も残りわずかとなった。NYに到着して半年間は、コロンビア大学のESLに入学して英語の勉強をしながら、リー・ストラスバーグのメソッド演技の個人レッスンで、演技のクラスで使われる言葉を勉強した。秋にはリー・ストラスバーグ・インスティテュートに入学し、エレイン・エイケン先生に出会って目からうろこの体験をする。藤間紫先生とエレインに出会わなければ、女優としては生きてこられなかった。

グリーンカードと初オーディション

2年たった頃、アルバイトで働いていたピアノバーから、続けて働くのならグリーンカードを申請してくださるとのお話を頂いた。その間にエレインが独立したので、彼女のアクターズコンサバトリに移り、続けて勉強。2年目にグリーンカードが下り、初めて受けたオーディションでNY州都アルバニー市のESIPA(Empire State Institute of Performing Arts)の「Class 『C』 Trial of Yokohama」 のナースのFujinoの役に合格した。

ユニオンとエージェント

少しずつ仕事が増え、ベル・アトランティックのコマーシャルの主役で映像の俳優組合SAG(スクリーン・アクターズ・ギルド)に所属。それがきっかけで次のオフ・ブロードウェイの「SHOGUN マクベス」で劇場の俳優組合AEA(アクターズ・エクイティ・アソシエイション)にも所属できた。このユニオンに加入するのは難しく、契約の規定に準じてノン・ユニオンの俳優を雇う場合、プロデューサーはなるべく組合に所属していない俳優を雇って経費を抑えようとする。けれども、ある程度以上の作品になるとユニオンの俳優のみの雇用になるので、オーディションに受かって選ばれるとユニオンへの参加が義務付けられる。それで私はこのコマーシャルで、2千ドル(約20万円)ほどの入会金をSAGに支払ったのだった。

SAGのユニオンに所属すると、次にAEAでの仕事が終わった時点で、割引の入会費でAEAに所属できる。AEAは1年間に13週以上の仕事をすると、年間の仕事量をこなしている間は健康保険に入れるし、仕事量によって年金も受け取ることができる。そして大事なのがエージェント。米国で活躍する俳優たちは、有名大学の演劇科やジュリアードなどの専門学校の卒業生が多い。エージェントはその卒業公演を見に行き、将来性のある若い俳優を自分の事務所に所属させ、オーディションに送り出す。私は初めはアジア人専門のマネージャー、それからいくつかのエージェント事務所を経て、20年ほど前から今のWolf Talent Groupに所属している。

ミュージカル
「SAYONARA」

これは、ジェイムス•ミッチナーの小説をもとに、ハリウッドでマーロン•ブランド主演で映画化されヒットした作品のミュージカル化で、NJの有名なペーパーミル•プレイハウスで初演。その時は、宝塚の娘役のフミコ役。その後、新しい演出と配役で制作。この時からは、アカデミー賞助演賞を取ったミヨシ梅木の演じたカツミを演じ、全米で公演した。その頃「ミス・サイゴン」が米兵とアジア女性の恋物語で類似していたため、ブロードウェーでの公演の話は途中で消えた。

「ヒマラヤ杉に降る雪」と「蜘蛛の巣城」

ハリウッド映画の「ヒマラヤ杉に降る雪」のフジコというヒロインの母親役に選ばれ、これが一つのブレイクになった。カナダの山中、バンクーバーのスタジオそしてその後シアトルとカリフォルニアで4カ月間の撮影だった。

黒沢明監督がシェイクスピアのマクベスをもとに制作した映画「蜘蛛の巣城」をピング・チョングが舞台化/演出し、OSF(オレゴン・シェイクスピア・フェスティヴァル)とNYのBAMで公演。私は、山田五十鈴さんが映画で演じた浅茅役を演じた。これがきっかけで足かけ3年OSFに在籍し、念願の英語でシェイクスピアを演じた。

【次回予告】

次号は、柳家東三楼さんのエッセー第38回をお届けします。

 

 

 

 

 

Ako (あこ)

宝塚音楽学校在籍中に毎日音楽コンクール声楽部門4位入賞。
同校を主席卒業後、歌劇団月組(芸名=夏海陽子)で新人賞、歌唱賞など受賞。
退団後は、NHK歌唱コンクールに入賞。
TV・舞台に出演後、ニューヨークに渡る。
2019年にはPrimary Stagesの「GOD SAID THIS」のまさこ役で、ルシル・ローテル主演女優賞にアジア人で初ノミネート。
18年に日米両語の非営利劇団「AMATERASU ZA」を立ち上げ、芸術監督を務める。今年放映予定のFXのTVシリーズ「SHOGUN」への出演も決定。

ako-actress.com

 

 

お知らせ
新作公演、準備中!

Akoさん率いる非営利劇団「AMATERASU ZA」は、2022年後半に新作舞台「忠臣蔵 四十七士」を上演予定です。現在、絶賛稽古中! 続報はウェブサイト(amaterasuza.org)を参照ください。また、同劇団はウェブサイトで寄付も受け付けています。

 

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