今話題のプランタンニューヨーク
今年3月下旬に、160年の歴史を持つフランスの百貨店プランタン(PRINTEMPS)が、ウォール街に米国初出店を果たした。「百貨店ではない」をコンセプトにした小売りの新時代を切り開く新しいリテールモデルを目指す、今号ではそんな話題のプランタンニューヨークの魅力を探ってみた。
ロシアが侵攻を続けるウクライナから、ショッキングなニュースが届いたのは4月2日。首都キーウ郊外のブチャから、通りに遺体が横たわる写真が届き始めた。SNSを通してジャーナリストや市民が発信し、それがさらに拡散されていくのだ。
英BBCは、「注意 極めて辛い内容が含まれます」という断り書きを付けてビデオ映像をSNSで流している。遺体が含まれる映像は、従来であればかなり慎重な編集判断が下されて、あまり見ないものだった。しかし、現在は連日、ブチャからの遺体を含む映像が発信される。
米紙ニューヨークタイムズ
遺体の写真を掲載
ウクライナは、首都キーウの防衛には成功した。しかし、ロシアは近郊ブチャなどで、住民を虐殺して後退し、その凶暴さが浮き彫りになった。
ウクライナでの戦争が始まってから、遺体の写真で注目を浴びたのは、米紙「ニューヨークタイムズ」だ。3月6日朝刊で、女性と子供2人、男性1人が歩道に横たわり、ウクライナ兵士1人が蘇生しようとしている写真をトップに掲載した。 寝ているかのように見える家族の後ろには、街から逃げようとしている中年男性が足早に歩く姿も。メディアとしては遺体を至近距離から写した異例の写真だった。
ロシア軍の無差別攻撃
ジャーナリストの証言
撮影した女性フォトグラファー、リンジー・アダーリオにその場の状況を聞いたインタビューは直後にポッドキャストで聞けた。
ロシア軍はキーウの外堀を攻撃しており、撮影場所イルピンはキーウ郊外。避難に使う大きな橋は、ロシア軍の侵攻を避けるため、ウクライナ軍が破壊した。
アダーリオとビデオグラファー、そして戦場での専門的な判断を下すセキュリティーアドバイザー(スティーブと彼女は呼んでいる)の3人は、迫撃砲が飛び交う中、市民が向かう橋にたどり着こうとしていた。ポッドキャストでは、おそらくビデオに収録されていた現場の音声が流され、迫撃砲が着弾する音やガラスが割れる音などが生々しく流れる。
ところが、アダーリオらは「近くにウクライナ軍の迫撃砲拠点があるから、ロシアはそこを狙っているのだろう」と思っていた。スティーブも「橋まで行けるかもしれない、行こう」と話していた。しかし、彼らの6〜9メートル近くに迫撃砲が着弾。幸いにも塀の後ろにいた3人はほこりまみれになっただけで済んだ。スティーブはアダーリオらに待機を命じて通りに出た直後に、ウクライナの衛生兵を呼び始めた。「来てもいい」と言われて通りに出ると、4人の市民が横たわり、兵士が蘇生しようとしていたという。
「最初に足が見えて、ムーンブーツと、ダウンのコート、スーツケースが見えた。家族だ、と思って息が止まった。何回かシャッターを切った。これは戦争の記録だと思って」と2人の子供を持つアダーリオ。ただ、迫撃砲が迫っていたためすぐに現場を離れなければならなかった。同紙はその写真を採用した。その家族や取材陣がいたところに着弾したことで「無差別攻撃」だと証言できると主張する。
ジャーナリストへのリスク
新たな戦争報道
一方、AP通信のビデオグラファー、ムスチスラフ・チェルノフら2人は、ロシアの攻撃が増し、市民が籠城状態となっている南部都市マリウポリに残る最後の国際メディアとなった。壮絶な体験は「マリウポリでの20日間 苦闘をドキュメントしたチーム」による。最後にはウクライナ人警官から、ロシア軍に捕まれば「軍にカメラで撮影され、これまで撮影したものは全て嘘だとあなた方に言わせるだろう。マリウポリでの努力も、何もかもが無駄になってしまう」と懇願され、脱出を決心したという。
従来の戦争や紛争、侵略の報道は、戦況とジャーナリストが伝える現場ルポが主流だった。しかし、今回のウクライナでの戦争では、ジャーナリストがどれだけの危険を冒して取材しているかという記事が多く出ている。それだけ、戦争と被害者・犠牲者の状況が立体的に伝わる、新しい戦争ジャーナリズムである。
4月5日にウクライナのゼレンスキー大統領が国連安保理で演説をした際、流したビデオは遺体の映像に溢れていた。放送するかどうかは報道機関に任されており、遺体の映像の扱いは今日も慎重な議論が続いている。
津山恵子
ジャーナリスト。
「アエラ」などにニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOなどにインタビュー。
近書に「現代アメリカ政治とメディア」(東洋経済新報社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
チャンピオン&#
2023年に渡米しӌ
ニューヨーク&#
今話題のプランタンニューヨーク
今年3月下旬に、160年の歴史を持つフランスの百貨店プランタン(PRINTEMPS)が、ウォール街に米国初出店を果たした。「百貨店ではない」をコンセプトにした小売りの新時代を切り開く新しいリテールモデルを目指す、今号ではそんな話題のプランタンニューヨークの魅力を探ってみた。
いつだってキレイでいたいっ! 日系人に優しい! 最新「プチ整形」事情
男女問わず、いつでも若々しく美しくいたいという気持ちは誰にでもあるもの。しかしながら、美容整形大国の米国とはいえ、人種や肌タイプの違い、費用の高さや言葉の壁など、ローカルの美容皮膚科や美容外科に通うのはちょっぴり不安…。そんな読者の声にお応えし、今夏の日本一時帰国の際にも使える、日本の最新「プチ整形」事情をご案内していきます!
大人も楽しいブロードウェーミュージカル
ニューヨーク演劇界のアカデミー賞と言われる第78回「トニー賞」の発表(6月8日)が近づいてきた。コロナ禍による低迷から完全復活したブロードウェー劇場はどこも連日満席の賑わい。毎晩、40以上の舞台で超一流の歌や踊りや悲劇喜劇が繰り広げられている。ファミリー向けでロングランの「ライオンキング」「アラジン」「ウィキッド」「ハリーポッター」は相変わらず人気トップだが、中には大人の鑑賞にふさわしい作品もある。比較的新しい舞台を中心に成熟世代が気になるブロードウェーをご紹介する。
私たち、こんなことやってます!
気になるビジネスを深掘りする連載企画。今回は「丁寧・フレキシブル・手頃な価格」で親しまれる引っ越し業者ターザンムービングの代表・ホセさんと、個々の状態に応じてカスタマイズした施術を行う、マッサージ・セラピストの秋山さんに話を伺った。