紅茶をめぐる冒険
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現在、シアター・フォー・ザ・ニュー・シティーで上演中の「Coltrane in Japan」で共演する俳優の大久保全也(まさや)さんと今福一博さんが語り合った。
――今回は初共演ですね。
今福 1年前くらいに弁当を運ぶバイトで知り合ったのですが、今まで役者として一緒に仕事したことはなかったんです。
大久保 僕は舞台を見たりして前からかずさんの存在は知っていました。今回の作品では僕の出演が先に決まっていて、演出家が「日本人の役者をもう一人探している」と言うのでかずさんに声を掛けたんです。急きょ呼び出して読み合わせに来てもらったところ、その場でキャスティングが決まり、共演が実現しました。
――初めて共演してみてどうでしたか?
大久保 同い年ということもあって、2人でディスカッションしながら芝居を掘り下げていく作業がすごく楽しいですね。もし年上の人だったら遠慮してそこまで言えてなかっただろうな。
今福 俺は年上の人にもがんがん意見を言うのが好きなので、真逆のタイプだね。それでたまに怒られるのもちょっと楽しんじゃうし(笑)。
大久保 かずさんはメンタルが強いよね。僕は演出家に言われたことを消化するのに時間がかかるのですが、かずさんは瞬発力があるなと感じます。言われたことをすぐに噛み砕いて表現できるのは、たぶんスタンダップコメディーをやっていた影響が大きいのかな。
今福 当時は英語を早く覚えたかったのと、これなら毎日ステージに立てると思って始めてみたんです。そこで鍛えられた即興力が今の芝居に役立っているのかもしれないですね。
――今回はどういった役どころですか?
大久保 主役であるジョン・コルトレーン一行のプロモーター兼通訳役です。実は僕は日本で俳優の市村正親さんの付き人をしていたこともあり、付き人に近い今回の役には当時の経験をそのまま活かしてすんなり入ることができました。
今福 僕は記者の役です。セリフは全部日本語。もちろん他の役者は英語なので、しぐさや目つきだったり言葉じゃない部分でのコミュニケーション力が求められたりと、舞台上の掛け合いもすごくリアルで演じていて面白いですね。
――舞台の魅力はどんなところにあるのでしょう?
大久保 舞台演劇と映像演劇ってテクニックが全く違うんです。舞台は失敗も観客に見られているし、そこからなんとかするのは役者の技量でしかなくて。
今福 あとは映像と違っていろいろな角度からの視線、とてつもないエネルギーを感じる中で芝居をするのが舞台の醍醐味かな。
大久保 僕はもともとハリウッドを目指していたのですが、「芝居の勉強をするならニューヨークの方がいいよ」と言われてここにやって来たんですね。舞台が盛んなニューヨークで演技の基礎を勉強できたのは、役者として大きいです。
今福 舞台の演技は映像にも応用しやすいしね。コミュニティーが狭くて活動的なのもニューヨークの良さじゃないかな。
――NYで俳優として活動する人にメッセージを。
大久保 ニューヨークは精神的にタフじゃないといられない街。僕は師匠に「人の時計じゃなくて自分の時計を見ろよ」と言われ続けてきたのですが、自分のペースで一歩一歩進むということが大事だと思います。
今福 俺は、時には逃げてもいいと思うんです。逃げることをもっとポジティブに捉えていい。英語が上達しないとか重圧を感じ過ぎるとメンタルにも良くないし、そんな時は思いっ切り逃げるのもありだよと伝えたいですね。
大久保全也
俳優の市村正親に4年間付き人として師事。ミュージカル「スウィーニートッド」などに出演後、2015年に来米。映画やTV、舞台、ボイスオーバー、侍パフォーマンスなどさまざまな分野で活動。米アニメ「カイユー」のパパ役の吹き替えやNetflix映画のCMナレーションなどを務める。Instagram: @masaya_okubo_actor
今福一博
女優の麻丘めぐみの付き人を経験し、2010年に来米。俳優養成学校のネイバーフッドプレーハウスで演劇を学び、数々の舞台や映像作品に参加。スタンダップコメディアンとしても3年間活動。昨秋に参加したショートフィルム「Twin Flame」が近日公開予定。趣味は写真撮影。Instagram: @kazimafuku
オフオフブロードウェー作品 “Coltrane in Japan”
伝説のサックス奏者、ジョン・コルトレーンと日本人の交流を描く。大久保さんは通訳の斉藤延之助役を、今福さんはジャズ評論家の油井正一役を演じる。
場所:シアター・フォー・ザ・ニュー・シティー
住所:155 1st Ave. (bet.E. 9th & 10th Sts.)
期間:〜3月27日(日)
※木〜土曜(午後8時〜)、日曜(午後3時〜)
チケット:18ドル
ウェブ:theaterforthenewcity.net
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