インタビュー

「Poupelle Of Chimney Town」 が全米公開! 西野亮廣さん独占インタビュー

アニメ映画「Poupelle Of Chimney Town」が先月30日、全米主要都市で公開スタートした。それに先立ち、ニューヨークに訪れた製作総指揮を務める西野亮廣さんに、今の心境と今後の展望を聞いた。


──映画「Poupelle Of Chimney Town」の全米公開おめでとうございます。まずは今のお気持ちをお聞かせください。

西野亮廣:ありがとうございます!エンタメの本場、アメリカに来れたということで、また一つ次のステージに進めたのかなと。丁寧にみんなで作り上げてきた作品なので、海を越えて一人でも多くの人に届けられることは素直にうれしいです。現地の試写会での反応もすごく良くて、陰でガッツポーズしました(笑)。ただそれよりも、一緒に頑張ってきたスタッフやファンの仲間にこれで少しは恩返しできたかな、とホッとしている部分が大きいですね。芸人から絵本作家になり、ミュージカルを作り、歌舞伎の舞台を作り、挑戦するたびに日本中から叩かれてきたんですけど(苦笑)、その分、仲間にもずっと肩身の狭い思いをさせてしまってきていたので。

──「えんとつ町のプペル」の物語にはどういった思いを込めたんですか?

西野:そもそもは個人的な自分の話なんですよ。当時僕がめちゃくちゃバッシングされていた時に、きっと世界のどこかに自分と同じように挑戦して笑われて叩かれている人がいるんだろうなと思って。その人たちに対するエールとして作ったのがこの話なんです。だから主役は〝ゴミ人間〟だし、ヒットのセオリーなんか完全無視。ピュアな気持ちでストイックに作った物語だからこそ、共感してくれる人がたくさんいたのかもしれないですね。

──日本ではミュージカルとして舞台化されましたが、ニューヨークにもミュージカルチームがいるとか?

西野:はい。次はブロードウェーでのロングラン公演を目指していて。というのも、「ブロードウェーから凱旋!」となれば日本でも話題になるのでしょうが、そうやって「日本で売るため」にブロードウェーを使うのは違うと思うんです。現地でちゃんと根付かせることが大事だと思っています。

──根付かせるために必要なことは何でしょうか?

西野:世界レベルのクオリティーに仕上げるのは大前提として、コネクションが物を言うのかなと。今回もとあるブロードウェーの演出家と会食したのですが、その晩には僕の日本でのミュージカル映像を見てくれて、すぐに「ぜひ一緒にやりたい。明日会えないか?」と連絡をくれて。誰とつながっているかが重要なこの世界で、このスピード感は現地にいて直接人に会えるからこそだと実感してます。

──さまざまな分野でエンタメ業界に進出していますが、今後の夢は?

西野:ゆくゆくは「町」を作りたいって思ってるんです(笑)。京都とかベネチアのようなイメージ。テーマパークとはまた違って、町はそこに人が住んでいて生活がある。「リトルトーキョー」ならぬ、「リトル・チムニー・タウン」を世界各地に作るのが最近の夢の一つですね。

──ニューヨークにもぜひ作ってほしいです。長引くコロナ禍を生き抜くために必要なことは?

西野:たまたま作品の内容とも重なるんですけど、みんな夢も希望も持てなくなって、えんとつ町じゃないけど頭の上が黒い煙でモクモクになってしまったじゃないですか。このコロナを乗り越える方法は誰にもわからないけど、一つ言えることは、目をそらさず見続けないと光や夢は見えないということ。やると決めたらたとえ日本中が反対しようがやり切る。そうやって進んでいけば、仲間に出会えたり突破口が見えてくると思うんですよね。

──ニューヨークで夢を追っている人の励みにもなる言葉だと思います。

西野:ニューヨークは、挑戦する人を歓迎してくれる雰囲気がありますよね。それで実際リングに上がって、弱かったらボコボコにされるだけ(笑)。そういう意味では非常にフェアで好きな街です。僕も近いうちにニューヨークに住みます!今回良い酒場もたくさん開拓できたので。

 

西野亮廣 にしの・あきひろ

1980年兵庫県生まれ。
芸人(キングコング)、絵本作家、文筆家などさまざまな肩書きを持つ。
著書に、絵本『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『えんとつ町のプペル』、小説『グッド・コマーシャル』、ビジネス書『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』などがある。
製作総指揮を務めた2020年日本公開の「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして170万人動員を記録。
同作で第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞。
会員制オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」も運営する。


公開中!「Poupelle Of Chimney Town」

西野亮廣さんが手掛けたベストセラー絵本、「えんとつ町のプペル」を原作にしたアニメーション映画「Poupelle Of Chimney Town」が、AMCシアターズをはじめとするニューヨーク市内で公開中。物語は、黒い煙に覆われた煙突だらけの「えんとつ町」を舞台に、あるハロウィーンの夜に少年ルビッチの前に現れたゴミ人間のプペルとの友情と冒険を描く。

【監督】廣田裕介
【吹き替えキャスト】トニー・ヘイル、アントニオ・ラウル・コルボ
【上映時間】1時間40分
【配給会社】Eleven Arts
【制作会社】STUDIO4℃

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1245

春到来! 週末のプチお出かけ 〜ハドソン川流域・キャッツキル山麓編〜

桜の花も満開を迎え春の行楽シーズンがやって来た。ニューヨーク市内から日帰りできるハドソン川流域・キャッツキル山麓の人気のスポットを紹介しよう。

Vol. 1244

オーェックしよ

コロナ禍で飲食店の入れ替わりが激しかったニューヨーク。パン屋においても新店が続々とオープンしている最近、こだわりのサワードウ生地のパンや個性的なクロワッサン、日本スタイルのサンドイッチなどが話題だ。今号では、2022年から今年にかけてオープンした注目のベーカリーを一挙紹介。

Vol. 1243

お引越し

新年度スタートの今頃から初夏にかけては帰国や転勤、子供の独立などさまざまな引越しが街中で繰り広げられる。一方で、米国での引越しには、遅延、破損などトラブルがつきもの、とも言われる。話題の米系業者への独占取材をはじめ、安心して引越しするための「すぐに役立つ」アドバイスや心得をまとめた。