大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。
※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。
「チャレンジすることが好きなんです。海外でビジネスを拡大していくというチャレンジも、まるで難解なパズルを全力で解くみたいに、ワクワクしながら取り組んでいます」。
そう話すのは、ニューヨークを拠点にアートレンタルのプラットフォーム「キュリナ」を手掛ける朝谷実生(あさたに・みお)さんだ。
これまでは富裕層や一部の層の娯楽であったアートレンタルを、サブスクリプション型サービスにすることによってその垣根を取り払ってしまった朝谷さんは、もともとは外交官を目指し、東京大学の法学部に通っていた。だが、その後コンサル会社でビジネスパーソンとしてキャリアを形成する中で、「自分の全エネルギーを投下できるものは何か」と考え、アートに目を付けたのが転機となったそう。
幼少期から触れていたアート
幼い頃からアメリカやイギリスで生活し、欧米の美術館に足を運ぶことが趣味だったという朝谷さん。コロンビア大学の経営大学院在学中には、当地の若手アーティストの経済的な苦悩やアート初心者の声に触れることもあって、現在のビジネスモデルを構築、起業するに至った。
「アートを購入したいと思ってもギャラリーはどこか入りづらかったり、価格が明記されていないことも多く、一般の人が作品を購入するには高いハードルがあります。そこで価格の透明性を上げて、好みのアーティストをもっと気軽に発掘できるサービスを作りたいと考えました」。
ターゲットの転換を図ることで、敷居が高いと尻込みしていた潜在顧客の受け皿に。これまでは手が届かなかった数千ドルの値が付く高価なアート作品も、月額費わずか38ドルで誰もが気軽に自宅の壁に飾ることができるようになり、アート界における革命を起こした。
「美術館やギャラリーで鑑賞するだけではもったいない。アートを楽しむ人の裾野をもっと広げていくことが私たちのミッションです」と語るその眼差しは力強い。
マイノリティーもサポートしていく
会社のマネジメントから作品のキュレーションまで手掛ける多忙な日々の中でも、アーティストが同社のポートフォリオにマッチしているかを見極めるため契約前には必ずアトリエにも会いに行く。「一貫したメッセージの一定数の作品群があるか、どんな展示会に出展し、どの大学でMFA(美術学修士)を取得したかといったバックグラウンドまでしっかりリサーチし、登録アーティストを選定しています」。
アートを通じたジェンダーや人種のマイノリティーサポートにも力を注ぎ、「これまで美術館やギャラリーでは男性アーティストばかりが取り扱われてきました。ですが『キュリナ』では女性アーティストが7割を占め、ブラックやヒスパニック、アジア人の若手アーティストを積極的に取り扱うことも大切だと考えます」と業界の変革へも余念がない。
パンデミックでは、自宅時間が増えたことにより、思いがけずサービスの需要が急増し、2019年の立ち上げから2年余りで急成長を遂げた同社。ビジネスの主要機関が集まるニューヨークを挑戦の場に選んだという朝谷さんだが、今後は全米での知名度を上げていくことが目標だ。内なる情熱を胸に秘め、さらなるチャレンジに挑んでいく。
朝谷実生さん
「Curina」代表取締役社長
来米年: 1993年、2004年(再来米)、2017年(再々来米)
出身地: 兵庫県
好きなもの・こと: ハイキング、水泳、オペラ鑑賞
特技: 人の顔と名前をすぐに覚えられる
幼少期を英国と米国で過ごし、東京大学法学部を卒業。
コンサルティングファーム勤務を経て、2019年にニューヨークでコロンビア大学MBAを取得。
同年10月の同校在学中に「Curina」を起業。トライステートを対象に現代アートのレンタル・サブスクリプション・サービス(月額38ドル〜)を展開する。
curina.co
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