今年9月にアラ&
転換期のスポーツ産業
テクノロジー導入が鍵
スポーツ庁が掲げる「スポーツ産業の国際化」に沿って、10月にロンドンで開催された国際スポーツビジネスカンファレンス「リーダーズ・ウィーク・ロンドン」に、5人のメンバーの1人として参加してきました。
まだまだこれから成長が期待される日本のスポーツビジネスに携わり、その存在感を示したいと考えている私としては、日本からの参加者の一人に選出していただき、非常にワクワクしておりました。
この「リーダーズ・ウィーク・ロンドン」のようなカンファレンスは世界中で活発に開催されています。今回もさまざまな国からプロスポーツリーグ、プロスポーツチーム、スポーツに関わるテクノロジーや、多くの企業が参加していました。 ここでは、最新のトレンドに関するパネルディスカッションが朝から晩まで開催されます。その中から興味のあるものを選んで出席し、夜は参加者同士がネットワーキングを行うことができるようなパーティーも開催されました。
面白かったのが、滞在したホテルがこのカンファレンスを開催するトウィッケナムスタジアム内に組み込まれていたことです。そのため会場での催し物が終了した後も、そのままホテルのロビーやバーで会話を続けることができました。
サービスの向上にはテクノロジー活用が必須
今回参加してみて感じたことは、コロナ禍の影響もあってか、テクノロジー企業が多く参加していたことです。スポーツとテクノロジーを掛け合わせることで、スタジアムでの観戦体験をその他の場所にどう届けられるか、ということに注目が集まっていることを身をもって体感することができました。また、コロナ禍に導入されたこれらのテクノロジーを、未来に向けてどのように継続すれば良いのかという議論はとても勉強になりました。
また「コロナ禍の約1年半に、約7年分ものスポーツ界におけるテクノロジーの導入が加速化された」という言葉が印象的でした。スタジアムに直接足を運べない中で、ファンの方々にどのように楽しんでもらうかという命題に対して、皆が試行錯誤していることを実感しました。
スタジアムに再びファンが来場できるようになった際には、それらのテクノロジーを残しつつ「ハイブリッド」としてさらなるサービスの向上につなげなくてはいけない、というのが今回のカンファレンスにおける共通した意見でした。
訴求力の高いアメリカで有効なマーケティング戦略を
アメリカにおいてスポーツを活用した企業マーケティング活動は、一般的なマーケティング活動よりも訴求力があります。そのため、最先端の事例を視察し、スポーツを通して今後どのようなマーケティング戦略を構築していけばいいのかを学びに来ている企業が多かったようでした。私自身もいろいろな視点の意見を聞くことができて、非常に有意義なものだったと感じました。
在米日本企業がスポーツマーケティングを取り入れている事例はまだまだ少ないです。今回カンファレンスを通じて勉強したことを少しでも還元できればと考えてますので、いつでもお気軽にお声掛けいただければと思います。
中村武彦
マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。現東京大学社会戦略工学研究室共同研究員。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。
スポーツマーケティング
ひとくち入門コラム⑧
同コラムでは、スポーツマーケティン グの訴求力が非常に大きいアメリカに おいて、マーケティングの活用法、導入 法を解説しておりますが、今月は5つ目と なる目的をご紹介いたします。
5つ目は「購買者に好印象を抱いて もらう」です。スポーツチームをスポンサ ーすることは、自社製品を購買してもら えるかもしれない企業への認知促進が 目的となりますが、その企業には購買す る製品を決定する「購買責任者」が存 在します。その購買責任者に訴求しや すいスポーツチームやイベントをパート ナーに選ぶことが大切になります。
そして、その時に「未来の購買責任 者」の存在も忘れてはいけません。大学 スポーツや、若年層に支持されているe スポーツなどのパートナーになることも 効果的でしょう。若いうちから特定のブ ランドになじみがあると、その人が購買 責任者などの要職に将来就いた時に、 好印象をすでに抱いていてくれているた め、より自社製品を選択してくれる可能 性が高まることになります。現在のみな らず、将来のお客さま確保という視点も 大切になってきます。