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新型コロナウイルスに対するワクチンの接種を拒否すると、会社を解雇される。未接種だと、レストラン、劇場、ジムにも入れず、コンサートのチケットも買えない。ワクチン接種証明のパスポートは、ニューノーマルであり「死活問題」だ。
クイーンズのメキシカンレストランに座っていたら、若いカップルが入ってきた。
サーバー:「ワクチンは終わってますよね」
男性:「僕は終わった。ガールフレンドは1回目だけ。中でもいいよね」
サーバー:「中はダメです」
男性:「僕らには食事する権利がある」
サーバー:「それなら、食事を出さない権利がある」
男性:「じゃ、外で食べるよ!」
ヒヤヒヤするやり取りである。
ワクチンパスポートを確認する店員(左)=クイーンズにて
ワクチンパスポートを提示させない店には罰金も
ニューヨーク市内では8月17日から、12歳以上の市民はワクチン接種証明(ワクチンパスポート)を、屋内の飲食、ジム、映画館、コンサート、クラブなどで見せることが義務化した。
対応したサーバーのエルネスト・レイエスさん(46)は、「外の席に座りたがるお客は、皆ワクチン接種をしていないか1回目が終わっただけなのではないかと思う」と話す。レストランやバーは昨年から、歩道など屋外に席を設けることが許可された。そこがワクチン接種が終わっていない人の、憩いの場になっているという。
9月13日からは、ワクチンパスポートをお客に求める規則に従わなかった場合、1回1000ドルからの罰金が課せられた。筆者の近所の小さなカフェ兼ベーカリーには、すでに2回も調査官が来たという。コーヒー1杯が2ドルのカフェで、1000ドルもの罰金は厳しい措置だ。
ワクチン未接種の
医療従事者を解雇
ニューヨーク市内のワクチンの接種率は全米よりも高く、10月6日現在、成人の75・6%が接種を完了。未接種の成人は16・6%だ(ニューヨーク市衛生局による)。
またニューヨーク州は、医療従事者に対し9月27日までに1回目の接種を終えることを義務付ける行政命令を出した。ニューヨーク市によると、市内の11の公立病院の医療従事者4万3000人のうち5000人が未接種で、失業保険無しで解雇される見込みだという。
ロイター通信によると、州内最大手のノースウェルヘルス病院(従業員7万6000人)は数百人の従業員の停職、あるいは解雇の手続きに入った。スポークスパーソンは「州内で最大の医療機関のプロとして、患者と社員お互いの健康を守るため、私たちには特殊な責任があることを理解している」と話した。
ニューヨーク州のキャシー・ホークル州知事は同時に、医療機関での大量の解雇で、現場が混乱に陥らないように、他の州やフィリピンなど海外からワクチン接種済みの専門職を調達する計画を立てている。しかしこれには「1年以上に渡り、命をかけて新型コロナ患者を看病してきた州の医療従事者に冷たい措置だ」という批判の声が上がっている。
大企業が従業員に対する
接種義務を発表
ワクチン未接種が失業につながる、つまり「死活問題」になるという例は、ニューヨークだけではない。バイデン米大統領は100人以上の企業は従業員に対し、ワクチン接種、あるいは週ごとのPCR検査を要請する方針を発表した。この措置は、全米の労働者1億人に影響がある。
企業は一件の違反に対し1万3600ドルの罰金が課せられるため、フェイスブックやマイクロソフト、グーグル、ウォルトディズニー、ユナイテッド航空、鉄道大手アムトラックなどは、ワクチン接種の義務化を次々に発表。AP通信によると、ユナイテッド航空は、未接種の社員593人の解雇に着手した。
他の企業は未接種の社員に対し、毎週PCR検査を受けさせるか、自宅勤務、あるいは社内での「隔離」勤務で対応する。
新型コロナウイルスの感染拡大がここまで私たちの生活を一変させるとは、想像もしていなかった。コロナからはもう逃れられない。ワクチンパスポートの義務化は、「ポストコロナ」を象徴している。前述のようにレストランに座っているだけで、店員とお客の口論を聞く。それもニューノーマルである。
津山恵子
ジャーナリスト。
「アエラ」などにニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOなどにインタビュー。
近書に「現代アメリカ政治とメディア」(東洋経済新報社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
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