ニューヨーク仕事人名鑑

ニューヨーク仕事人名鑑 #8 永瀬まりさん

困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。

※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。


ティファニー、ボビー・ブラウン、ディオールといった高級ブランドで、何かを身に付けたり持ったりしている「手」の広告を見たことはあるだろうか? もしかしたらその手は、永瀬まりさんのものかもしれない。

「日本のハンドモデル業界の頂点」ともいえるハンドクリームブランド・アトリックスでモデルを務め、国内のキャリアを極めた永瀬さん。ステップアップを求め、2016年に単身ニューヨークにやって来た。今では前述のようなトップクラスのブランドで引っ張りだことなっている。

公私の目的地は「マンハッタン外」に

昨年、永瀬さんは住まいを、市内からウェストチェスター郡に移した。コロナ禍でも心の健康を保ち、「なるべく家から出ない生活」を模索した結果、ジムやプールを併設する郊外の静かなアパートに行き着いたという。ニューヨーク市内へはメトロノースで40分程度ということもあり、身構えていたよりも不便は少ない。

「今まで撮影はマンハッタンで組まれることが多かったのですが、ソーシャルディスタンスやコスト削減の面から、郊外の設備で組む企業も増えてきました」

こうなると、撮影場所によっては、マンハッタンよりもアップステートから訪れる方が早かったりするのだとか。しかし、撮影場所がマンハッタン外であることが一般的になる日が来るとは、予想もしていなかったという。

「これまで、フォトグラファーやアーティストらと組んで行う、無償のテストシュートなどにも積極的に参加していました」と永瀬さん。「もともと、気になるフォトグラファーや業界人にSNS経由でコンタクトを取り、人脈を築くことでキャリアを重ねてきましたし。仕事の価値を料金ではなく、やりがいやキャリアバランスで考えていたんです」

しかし、コロナ禍で身を守りながら生活していくために、「心苦しい時もありますが、最近は外出時間を減らすために仕事も厳選しています」と永瀬さん。この自由度の増した働き方は、永瀬さんにとってプラスにも作用したようだ。もともと自身のキャリアをブランディングする目的で、SNS運用に力を入れていたが、最近はインフルエンサーとしての依頼も増えてきた。こちらはフリーランスかつオンデマンド形態なので、作業場所や頻度も自分次第だ。

過去に縁が深かった日本の企業からは、引き続きモデルの仕事も受けている。そして日本のメディアからの取材依頼では、ハンドモデルとしてだけではなく、生き方などのパーソナルな側面に脚光が浴びるようになってきた。

芸術としての「手」

商品を手に取る様子を収める撮影では、いわゆる物撮りの専門家が照明や色彩を調整し、シャッターを切る。広告撮影では商品を完璧に見せるために自由度は低くなるが、永瀬さんは「いつかペインターやミュージシャンなど、全然違うジャンルの人たちとも作品を作りたい」と話す。どこまで感情や世界観が表現できるか挑戦したいという。

「家に自然を取り入れたくて、観葉植物を増やしたんです」と、家の中を見せてくれた永瀬さん。その穏やかな笑顔の背景には、自分にとって「一番必要なこと」を見極める強さがあるのかもしれない。

 

 

 

 

永瀬まりさん
ハンドモデル

来米年: 2016年
出身地: 埼玉県
好きなもの・こと: 観葉植物
特技: 料理

手や足をはじめとしたパーツモデルとして日本で活躍後、2016年に来米。
ブルックリンやマンハッタンの各所に移り住んだ後、昨年よりアップステート在住。
エレガントで上品な形の手を生かし、ファッションブランドや百貨店などの写真広告に多数出演する。
Instagram: @mari_handmodel

 

 

 

 

 

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