プロスポーツから見る経営学

東京五輪の事前キャンプ

五輪本番に向けた
事前合宿での心得

東京五輪がいよいよ開幕しますが、各国代表チームはそれよりも前に日本に入り、気候や時差を調整するために事前キャンプを実施することが多いのです。

東京に入り、選手村などに入村した後は日本オリンピック委員会の管轄となりますが、事前キャンプは各国が独自に手配・管理をします。この事前キャンプ誘致では、さまざまな地方自治体が誘致活動をしたり、代表が自分たちの条件に合う場所を探したりしていきます。

 

いよいよ今月23日から東京五輪が開幕する

1年半以上前から
綿密に準備

弊社は海外チーム同士の国際試合をマッチメーキングする資格を有していることから、今までさまざまな国やチームの移動やキャンプ、対応に従事してきました。代表的なものはハワイにて主催している日米のプレ・シーズン・トーナメントの「パシフィック・リム・カップ」であり、昨年はさいたま市からのご依頼で「さいたまシティカップ」における大宮アルディージャの対戦相手としてウルグアイリーグ王者のクラブ・ナシオナル・デ・フットボールを招聘(しょうへい)したりしてきました。

同時にアメリカサッカー界で長らくスポーツビジネスに従事してきたことより、今回アメリカサッカー女子代表、そしてボクシング代表6カ国(アメリカ、ドイツ、フランス、アイルランド、オランダ、オーストラリア)総勢110人の日本での事前キャンプを取り仕切らせていただきました。

この準備は実はさかのぼること1年半以上前からになります。合宿をするための諸条件のヒアリング、そしてキャンプ地との折衝・調整、契約書チェックなどの作業が細かく行われるものです。そこからどのように移動をするか、セキュリティーはどうか、食事のメニューなどの細部まで詰めていき、無事にキャンプ地に到着となります。

コロナ禍での対処
現場での3つの注意点

今回大変だったのはコロナ禍でバブル体制が敷かれ、動きが大幅に制限された点です。外出はおろか、敷地内でも一般客と交わらないような導線を張り巡らせないといけませんでした。キャンプ中は弊社スタッフも総出でホテルに運営本部を立ち上げ、現場で起きるさまざまな出来事に対応をしました。

この仕事の現場で難しい点は3つあります。

①チームの使いっ走りにならないこと。あくまでもチームとキャンプ地の間に入り潤滑油になることが仕事です。個人でできることには限界があり、チームの言いなりになって雑務に忙殺されてはいけません。

②運営チーム全体でホテル、県、市と連動して動くこと。現場ではみんながあちこちに走らないといけないし、刻々といろいろな変更やハプニングが起きます。常に運営本部が皆の動きを把握し、適切な指示系統を確立していることも大切です。

③ミーハーにならないこと。プロのチームマネジメント集団ですので選手のサインをもらおうとしたり、アイテムをもらおうとしたり、チームと行動を共にして自分もそのチームの一員になったという勘違いをすると、ひいきしたり健全な運営ができなくなるのでミーハーな気持ちを抑えないといけません。

キャンプでは選手たちの素顔を見ることができました。親近感も湧きますし、多くの人が支えてのキャンプだっただけに、五輪本番で活躍をしてもらえることを切に願っています。

 

 

中村武彦

マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。現東京大学社会戦略工学研究室共同研究員。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。

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