大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。
※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。
昨年、日本人バイオリニストで初めてのグラミー賞受賞という快挙を成し遂げた徳永慶子さん。そんな輝かしいキャリアの始まりとなる来米は奇しくも2001年9月だったそうで、ニューヨーク到着直後に9.11同時多発テロが起きた。
波乱の幕開けとなったニューヨーク生活だが、「アメリカで頑張ると決めて来たので腹をくくりました。アメリカの自由な空気が好きでしたし、これから新しい人生が始まるんだと思って覚悟が決まりましたね。それ以来ずっとここに居座っています」と笑う。
異色の“漫画も描ける”バイオリニスト
幼少期からバイオリン一筋だった。だがあらゆる国内コンクールに当時玉砕したことで、日本では頭打ちだと悟った徳永さんは留学を決意。高校生の時にニューヨークに単身で渡り、プリカレッジを経て名門ジュリアード音楽院を卒業した。その後世界各地の舞台に立つなど着実に活躍を続け、大学在籍中から所属していた弦楽四重奏グループ「アタッカ・カルテット」のアルバムで、見事第62回グラミー賞最優秀室内楽の受賞も果たした。「日本人バイオリニストでは初めてだったのでラッキーでしたね」と控えめに語るのは謙虚な徳永さんの人柄だろう。
そんな順風満帆のキャリアの中、コロナの影響で演奏家としての苦戦を強いられた。ライブ演奏はめっきり減り、オンライン配信に移行することを余儀なくされたが、思わぬ収穫もあったという。以前から続けていた漫画の執筆時間をより確保できたことだ。自身のバイオリニストになるまでの半生をあるがままに描いた連載は、同じ境遇の未来の音楽家たちを勇気づけ、反響も大きい。「バイオリンが本業なのでなかなか時間がとれないですが、気分転換の良い時間にもなっています」と徳永さん。現在は漫画の仕事も舞い込んでいるといい、将来出版するのが夢だそう。
また、メンタルが落ち込んだ時に救われたヨガにも開眼し、毎週励むのが今のルーティンだ。「演奏中の細かい筋肉の動きに集中できるようになって良いことづくめです」。
アジア人であることと向き合っていく
教えることも好きだという徳永さんは、現在オンラインレッスンにも力を注ぐ。「自分が演奏するのとはまた違う楽しさがあります。電球に光が点くような、子供たちが壁を乗り越えた瞬間に立ち会えるのは快感です」。それぞれの個性が出る音質や細かいニュアンスは画面越しだと聞き取りきれないため、対面のレッスン再開が待ち遠しいそう。
生演奏のオファーは徐々に戻ってきており、パンデミックの出口も見えてきた。だが、当地で相次ぐアジアンヘイトから「アジア人でいることについて考えさせられる時間が増えました」とも打ち明ける。そこでアルバム制作を構想し、「自分のルーツを掘り下げるという意味でも、洋楽器であるバイオリンと日本の伝統的な琴・三味線といった和楽器とのコラボ、ロック、アニメなどジャンルを超えた新しい音楽を作っていきたいです」と語る表情は晴れやかだ。
今年11月には、ピアノとのデュオで行脚する日本全国ツアーを控え、「舞台上での“奏で合い”は音楽を通した会話のようなもの。今回のツアーでも楽しみたいです」と心待ちにするその眼差しは、まさに希望に満ちている。
徳永慶子さん
バイオリニスト
来米年: 2001年
出身地: 神奈川県
好きなもの・こと: 猫、ヨガ
特技: 漫画を描くこと
邦人バイオリニストとして初のグラミー賞保持者。
ソリストとしてスペイン国立管弦楽団、バルセロナ=カタルーニャ管弦楽団等数多くの管弦楽団と共演。
2007年のカーネギーホールでのデビュー以降、世界各地で演奏活動を行っている。
現在ジュリアード音楽院予科、フォーダム大学講師。
Instagram: @keikonomanga
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