大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。
※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。
「カトサケワークス」を営む加藤忍さんがまだ物件探しをしていた当時、ブルックリンにはまだ日本酒の酒造りを行うブリュワリーはなかった。ブッシュウィックを選んだ理由を聞くと、「地元の高円寺にどことなく雰囲気が似ているなと思いました。一目惚れでした」と話す。
準備期間1年をかけて昨年3月中旬に念願のオープンに至ったが、直後ロックダウンが直撃。開店から丸1年をコロナ禍でサバイバルしてきた。「大変だったでしょってよく聞かれるんですけど、その前を知らないので自分にとってはこれが通常ですね」と笑い飛ばす、その明るい人柄が次々に人を引き寄せ、開店に向けてロゴデザイン、内装、スタッフなど近所の協力してくれる人たちに助けられた。
うまい酒に出会える憩いの場に
もともとは日本でコーディングもできるIT系のサラリーマンをしていたという加藤さん。仕事を辞め、2004年に留学のため来米。その後北米日産に就職すると同時にテネシー州に移住した。日本でのサラリーマン時代は上司に連れられ、うまい酒の味を知っていた加藤さんが醸造家へ華麗なる転身を遂げたのは、その地でなかなかうまい酒に出会えないことがずっと引っかかっていたのが理由だ。
当時のクラフトビールブームにも感化され、友達に振る舞うため自らキッチンで日本酒を作ってみようと思い立ち、独学で醸造をマスターしたという。醸造仕立てのフレッシュな酒は美味しいと好評で、やがて1本売ってほしいという声をきっかけにビジネスにしようと一念発起。そしてせっかくなら大都市のマーケットでとニューヨークに渡ったが、日本酒がワインに分類される当地ではリカーライセンス取得になかなか苦労したという。
醸造兼販売を行う同店は、軒先でのボトル売りがメインで、設置したバーカウンターはいまだに未使用のままだが、そんな状況でも近所の住人に愛され、毎週通ってくれる常連もいる。「毎週売り切れてしまい製造が間に合わない」とうれしい悲鳴をあげている。
まずは日本酒に親しんでもらうことが先決
加藤さんが目指すのは、米国人に日本酒をまず知ってもらうこと。いくらニューヨークでSAKEが浸透してきたとはいえ、“日本酒”を実際に口にしたことがあるアメリカ人は半数にも満たないだろう。小難しい説明は後回しで、まずは口にしてもらう。「米がどうとかいろいろ説明するよりも、シンプルに飲んでみて好きかどうか」。純米、にごり、生酒と最小限の種類に絞っている理由はそこにある。
「自分の舌に合う日本酒の名前を覚えてもらって、それを他の店でも頼めるようになってくれたらうれしいですね」
休みの日もブリュワリー巡りを欠かさない加藤さんは、近所の醸造同業者たちはライバルではなく、コロナ禍で助け合う共に生き延びるための戦友だと話す。
地元の常連からは、日々「いつになったら店内で飲めるのか」と聞かれるそう。より広い敷地への移転も考える中で、次の出店場所ももちろんブッシュウィックと言い切る。「ここの人たちが大好きなので離れるのは寂しいですね」。どこまでもブッシュウィックを愛する加藤さんのSAKEを伝えるニューヨークでの旅はまだ始まったばかりだ。
加藤忍さん
「Kato Sake Works」オーナー
来米年: 2004年
出身地: 東京都
好きなもの・こと: ブリュワリー巡り
特技: どこでも眠れること
早稲田大学卒業後、日本でのサラリーマン生活を経て、2004年にメリーランド大学MBA進学のため来米。
その後、日系自動車企業の北米IT部門に勤務しつつ、空き時間に自宅のキッチンで酒造りを始める。
20年、ブルックリンに「Kato Sake Works」をオープン。
katosakeworks.com
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