Akoの真っすぐ俳優道inニューヨーク

Akoの真っすぐ俳優道inニューヨーク 第2回

異なるジャンルで活躍する当地の日本人が、不定期交代で等身大の思いをつづる連載。


前回に続く私のお話はいったんお休みさせていただいて、今回は当地で活躍している日本人の方々との対談編の第一回目をお届けします。在ニューヨーク日本国総領事館の山野内勘二大使にお話を伺いました。

Ako:山野内大使、今回はお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。大使とはこれまで、さまざまな所でお目にかかりご挨拶を申し上げて来たのですが、なかなかゆっくりとお話をさせていただく機会がありませんでしたので、今日はとても楽しみにしておりました。

山野内大使:私も今日お話するのを楽しみにしておりました。

Ako:ニューヨークへ赴任されて間もなくコロナ禍に直面し、前もって計画していらしたことなどができなくなるなどご苦労があったと思うのですが、その中でも見つけられた楽しみなどおありですか?

山野内大使:私は、ニューヨークはこれまで何度も訪問する機会がありました。一番初めは1985年6月ですね。前の年の84年に外務省へ入ったのですが、留学・研修の一環でコーネル大学へ向かう途中1週間滞在しました。その後もニューヨークには仕事でもプライベートでも訪れていますが、赴任は今回が初めてで2018年10月に着任しました。ニューヨーク赴任の約1年半後にはコロナ禍での仕事になりました。

ニューヨークはエネルギーに満ちて多様性に溢れる素晴らしい街だと思います。光が強い分、影も深く暗い面もありますが、全てが凝縮しているのが魅力です。世界中から人々が集まってくる街で、その真っただ中にいることが楽しいと実感しています。

ニューヨーク在住の邦人や日系人の方々が自由に多様な才能を発揮されていて、このコロナ禍にあっても日系人コミュニティーの根底にある強さは変わっていないと思います。コロナ自体は天候と同じように私達がコントロールできることではないし、世界中もっと悲惨な状況に置かれている国々があります。100年に一度あるかないかの災害に人類が直面している今、それに負けまいとする力がみなぎっていたり、創意工夫が生まれたりとポジティブな面も見えます。

ヘイトクライムへの対策

Ako:今、アメリカでは日本人もターゲットになっているアジア系住民へのヘイトクライムが激しくなり、私も一人で地下鉄に乗ることを控えているのですが、もしヘイトクライムに不幸にも遭遇してしまった時は、警察と総領事館に届け出ることが重要ですね。

山野内大使:総領事館は在留邦人の皆さまの安全を第一に考えております。どんなささいなことでも結構ですので、何かあれば、直ちに連絡してください。ニューヨーク市警とも緊密に連絡を取り合い、さまざまな情報を集め、ヘイトクライム対策の万全を期すよう努めています。

昨日もニューヨーク市警の幹部とお話をしたのですが、一番重要なのは、危ない所へ近づかないことです。それからなるべく一人で行動をしない、同じ場所に行くのなら、地下鉄よりもバスの方が良いですし、暗いところよりは明るいところ、夜遅く歩かないなどです。

大変にご不便かもしれませんが、何よりも安全第一だと思います。不幸にして事件に遭遇した時は、事の大小にかかわらず、すぐに報告してくだされば、ニューヨーク市警のアジアヘイト対策の改善・強化につながります。NYPDからもFBIからもぜひ報告してくださいとのメッセージを受けています。

Ako: 英語でなくても、ニューヨーク市警911に電話をして「ジャパニーズ、プリーズ」と言えば通訳を探してくれるそうですね。

山野内大使:はい。総領事館も常時報告を受け付けています。(TEL: 212-371-8222 / ny.us.emb-japan.go.jp/jp/p/whatif_01.html

Ako:総領事館が常時対応してくださっていると伺い、安心致しました。ありがとうございます。

〈後記〉このコロナ禍とアジア人へのヘイトクライムなどでお忙しい中、山野内大使にいろいろなお話を伺うことができました。次回は音楽や学術に造詣が深い大使の楽しいお話を続けてお送りします。お楽しみに。

 

 

 

山野内勘二

在ニューヨーク総領事・大使。
1984年外務省入省。
内閣官房副長官秘書官、北米第一課長、内閣総理大臣秘書官、アジア大洋州局参事官、在米日本国大使館公使、外務省経済局長などを務め、TPP交渉などで日米関係の発展に尽力。
2018年10月より現職。

 

【次回予告】

次号は、柳家東三楼さんのエッセー第7回をお届けします。

 

 

 

 

 

 

Ako (あこ)

宝塚音楽学校在籍中に毎日音楽コンクール声楽部門4位入賞。
同校を主席卒業後、歌劇団月組(芸名=夏海陽子)で新人賞、歌唱賞など受賞。
退団後は、NHK歌唱コンクールに入賞。
藤間流紫派師範名執「藤間公紫」となる。
TV・舞台に出演後、ニューヨークに渡る。
2019年にはPrimary Stagesの「GOD SAID THIS」のまさこ役で、ルシル・ローテル主演女優賞にアジア人で初ノミネート。
18年に日米両語の非営利劇団「AMATERASU ZA」を立ち上げ、芸術監督を務める。
ako-actress.com

 

 

お知らせ
新作公演、準備中!

Akoさん率いる非営利劇団「AMATERASU ZA」は、2021年12月に新作舞台「忠臣蔵 四十七士」を上演予定です。現在、絶賛稽古中! 続報はウェブサイト(amaterasuza.org)を参照ください。また、同劇団はウェブサイトで寄付も受け付けています。

 

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