ニューヨーク仕事人名鑑

ニューヨーク仕事人名鑑 #14 名取由稀江さん

困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。

※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。


「ニューヨークで受け入れられるということは、いろいろな人種の人に受け入れられるということ。挑戦しがいがある街です」

そう語るのは、ヘア、ネイル、スパ、まつ毛エクステ、メディカルスパとトータルビューティーを提供するニューヨーク屈指の日系サロン「ユキエ・ナトリ・ニューヨーク」オーナーの名取由稀江さん。ネイリストの草分け的存在でありながら、東京ではネイルスクール「エンパイア・ニューヨーク・ネイルスクール東京」のオーナー兼校長としても活躍し、当地での美容事業に限らず後進の育成にも尽力している。

真の美を提供する究極のサロンへ

自身のキャリアは意外にも美容師からのスタートだったという。東京・青山でアメリカ人オーナーのもとで美容室勤務をしていた時に海外に興味を持ち、当時日本ではまだ普及していなかったネイルデザインを学ぶためにニューヨークへと飛び立ったのが1995年だった。

留学先でネイルの可能性を感じた名取さんは、「またニューヨークに戻ってくる」という決意を胸に秘め、帰国後銀座にネイルスクールを設立、その5年後にはニューヨークでサロンオープンを実現し、夢をかなえる。

「全ての美容は点と点でつながっている」という理念から立ち上げたトータルビューティーサロンは、日本人の高い技術が現地人の心をつかみ、順調に成長してきたが、昨年のロックダウンによって突如4カ月間の閉鎖を強いられた。先が見えない中では、スタッフのメンタルケアに最も心を砕いたという。「一番大切なのは人材です。スタッフの技術力がなければサロンの成功には結びつきませんので」と名取さん。

ロックダウンを耐えしのぎ、サロンの再開に尽力する中、8月には同サロン内に念願の美容皮膚科「スキンディープNYC」の開業も果たした。「究極の美容技術は医療だと思うんです」。最先端の機械や技術を駆使することが可能な医療をも包括することで、確実性と効果のある真の美容が提供できるようになる、という思いからだった。

教育こそ未来の人材への道を作る

日本の誇る高い技術力やおもてなしを海外に広めるため、人材教育にも力を入れる。自身のスクールでの教育はもちろん、生徒の留学先としてニューヨークの美容学校とも提携し、資格が取得できるプログラムを設立するなど海外進出へのチャンスとなる道作りにも腐心する。

次々と新しい道を開拓しながらも、「実はやりたいことがまだあるんです」と話す名取さんは、すでに次の目標実現に向けてまい進しているそう。海外を目指して挑戦するにはどれだけの熱意があってもビザや学び口といった壁が立ちはだかるものだが、その糸口となる当地での日系美容学校設立に向けて始動している。「道筋さえあれば、もっと簡単に海外に飛び出して行ける。無駄な苦労は省いてあげたいです。しなくていいものですから」。未来の人材の道標となる初の日系美容学校は来年の開校を目指す。

「やりたいことは言葉に出すことにしています。一度人に言ってしまえば後には引けないので」とはにかむ名取さんの尽きることのない挑戦は、これからも続きそうだ。

 

 

 

 

名取由稀江さん
「Yukie Natori New York」代表取締役社長

来米年: 1995
出身地: 長野県
好きなもの・こと: 世界のスパ巡り
特技: トレンドキャッチ
1995年にニューヨークへ留学。
メーク、ネイルを学び、ニューヨーク州コスメトロジーライセンスを取得。
帰国後、東京都内に2校のネイルスクールを設立。
現在ニューヨークでトータルビューティーサロンとメディカルクリニックを経営する。
NPO法人日本ネイリスト協会常任本部認定講師。
yukienatori-newyork.com

 

 

 

 

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