ウイスキーといえば、近年ジャパニーズウイスキーが世界で注目を集め、希少価値も上がっているようだ。ウイスキーには、シングルモルトや、ブレンデッド、グレーンなど種類によって味が異なり、銘柄ごとの個性を楽しめるのも魅力だ。そこで今回は、ニューヨークでウイスキーの魅力を再発見してみよう。
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2020年3月、米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事(63、民主党)の人気は、皆が記憶しているところだ。新型コロナウイルスの感染爆発地となったニューヨークで、病床、医療器具、ボランティアを全米から刈り集め、感染拡大を抑え込むのに辣腕(らつわん)を振るった。
約1年経った今、クオモ氏には、二つの捜査当局の手が及び、彼の長い政治家人生が終わるかもしれない危機に直面している。捜査対象は以下だ。
・ニューヨーク州東部地区連邦地検は、同州が州内高齢者施設の新型コロナ感染死亡者数を過少報告していた問題について、捜査を開始した。
・ニューヨーク州司法長官は、クオモ氏の女性同僚らが過去に、「セクハラを受けた」と告発した問題の捜査を開始した。
コロナ対策への不透明性
調査対象の州知事
二つの事件は、コロナ危機の中ヒーローだったクオモ氏を辞任に追い込むか、州議会の弾劾を受け罷免されるかという政治的問題にまで発展している。
第一の問題は、クオモ政権が昨年、新型コロナ対策の予算に盛り込んでいた「緊急災害治療法」だ。
同法は、ニューヨーク州予算案の347ページ目に記載されている、医療施設や高齢者施設がコロナ患者の治療についての民事・刑事訴追を免除するというものだった。
この法律は、医療施設の経営・運営者、医療スタッフまで、コロナ患者の治療について責任を免除していた。
ところが、草の根調査報道サイト「デイリー・ポスター」によると、クオモ政権はこの法律を、医療施設の強力なロビー団体から125万ドルの献金を受けたのち、予算案に忍び込ませた。法律は2020年3月に発効した。
1年前の爆発的感染の最中、クオモ政権は患者の激増に対応するため、病床数の確保に血眼になっていた。クオモ氏は緊急命令に矢継ぎ早に署名し、ニューヨーク市最大の会議場を病院に突貫で改築し、連邦政府から米海軍病院船まで呼んだ。そして、病床拡大のための緊急命令に、高齢者施設の病床の利用が含まれていた。なんと一般病院は、収容しきれないコロナ患者を、感染リスクが高い高齢者や既往症患者がいる高齢者施設に送り込むことができるようにしたのだ。
高齢者施設の職員や住人は、十分な医療器具やスタッフもなく、たちまち新型コロナに感染し、死亡者が急増して、すぐに限界に達した。
しかし、「緊急災害治療法」によって、高齢者が十分な支援もないまま新型コロナで死亡したケースで、家族らが医療施設に説明を求めたり、訴訟を起こして真実を知ることができなくなっている。
さらなる追い討ち
3人の告発者現る
第二に、クオモ氏によるセクハラの問題だ。これを書いている3月5日までに3人の女性が同氏を告発している。
クオモ氏の元経済補佐官兼特別顧問で現在、ニューヨーク市マンハッタン区長候補のリンジー・ボイランさん(36)は、オフィス内でキスされたり、移動中の機内で「ストリップ・ポーカーに誘われた」などのセクハラ被害を告発。また、クオモ氏の元保健政策ディレクター、シャーロット・ベネットさん(25)は、クオモ氏から「年上の男性と関係を持ったことがあるか」など、性生活について質問された他、パワハラの被害にあったと語った。3人目のアナ・ルックさん(33)は、友人の結婚式に参加した際、初対面のクオモ氏に、ドレスのデザインで開いていた背中に触られ、両手を頰に当てられて「キスしてもいいか」と尋ねられたと告発した。
このコラムでは、ハリウッドの有名な映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏が、30年以上にわたって行ってきたセクハラと性的暴行が明らかになり、『#MeToo』運動が高まった経緯を書いてきた。被害者となった女性たちが、その後たどる困難を考えたとき、クオモ氏のケースも看過できないだろう。
高齢者施設における死亡者数の過少報告については、司法当局の捜査結果が待たれる。大衆の人気を追い風に、あるいはそれを損なわないために試された措置だとすれば、許されるべきではな
いだろう。
津山恵子
ジャーナリスト。
「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOなどに単独インタビュー。
近書に「現代アメリカ政治とメ ディア」(東洋経済新報社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
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