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大正15年創業の
「素人トレーダー集団がウォール街随一の切れ者たちを、まるで間抜けのようにみせた1週間だった」と、ウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニストが書いた。
1月25日〜29日の間、オンラインでの寄せ集めユーザーが、地味な銘柄の米ゲーム小売りチェーン、「ゲームストップ」の株を500%も押し上げた。業績不振なゲームストップの逆に賭けていたウォール街のヘッジファンドたちは、数十億ドルの損失を被った。まさに、目には見えないマーケット(金融市場)における「オキュパイ・ウォール・ストリート(OWS)」だ。
OWSは2011年に起きた、若者による格差反対運動だ。OWSは、ウォール街近くの公園を占拠して寝泊まりし、連日デモを繰り返したリアルな運動だった。
しかし、ゲームストップの株価の高騰は、一部の投資家が富やその富の産み方を独占しているのに対し、資金も持たないオンラインの素人トレーダーらが革命を起こしたマーケットの「民主化」だ。こんなことはかつてなかった。
ユーザーに呼び掛け
ゲーム感覚で大量買い
具体的に素人トレーダーが取った行動は以下だ。
オンライン掲示板レディット(Reddit)上のフォーラム、「ウォール・ストリート・ベッツ」に参加するメンバーがユーザーに呼び掛け、特定の銘柄を大量に買う素人集団を形成した。
彼らが狙った銘柄は、ヘッジファンドなど機関投資家が値下がりを見込んでいたもので、ゲームストップの他に、映画館チェーン大手のAMCエンターテインメントも含まれる。
ゲーマーの世界は現在ほとんどオンラインやモバイルにシフトしており、パッケージのゲームを買う人がいないため、ゲームストップは苦境にある。また、新型コロナウイルス感染拡大のため、多くの映画館は閉館を強いられており、AMCも機関投資家にとっては「売り」の対象だ。
しかし、レディットの呼び掛けで集まった素人集団は、株式取引アプリの「ロビンフッド」などを利用して、ゲームストップなどの株やオプションを大量買いした。一人一人の資金は少額だが、オンラインを通して集まった投資家の数と資金は、無視できないものだ。
株価が下がるのを見て空売りに転じたヘッジファンドなどは、損失を防ぐために今度は買い支えるしかなく、それも手伝って株価が上昇した。
マネタイズで変わる
10年先の経済民主化
ゲームストップの株価は1月8日に17ドル超だったが、1月29日には340ドルを超え、一時は483ドルを指した。20ドル前後で購入し、300〜400ドルで売却した多くの素人投資家がいたことを想像してみてほしい。
ニューヨーク・タイムズの人気ポッドキャストでは、ゲームストップの株価高騰が起きた直後の2月1日、レディットのスティーブ・ホフマン最高経営責任者(CEO)にインタビューした。レディットのフォーラム「ウォール・ストリート・ベット」は、マーケットを人為的に操作したのではないかという問いに、「そうは思わない」と同CEOは答えた。
興味深かったのは、「オンラインの世界は今後どうなるか」という問いに対する答えである。
「従来は、情報をどうマネタイズする(インターネットで収益を上げる)かということだったが、これから10年は、経済をどう民主化するかということに使われるようになる」と、同CEOは語った。
そうであれば、道半ばとなったOWSのようにではなく、経験も高額なブルームバーグのようなサービスもない素人投資家が、下克上のように一部に偏っていた経済、つまり富を得ることができるようになるのだろうか。
しかし、同CEOは自分が今回のようなマネーゲームに参加するかと聞かれると、「そのつもりはない」と答えた。
「マーケットに参加するには、それなりの学習や調査が必要であり、それを知らなければ、崖から飛び降りるのと同じようなものだ」と同CEOは話す。
素人がウォール街の機関投資家をとっちめて喜ぶゲームのような現象は、規制すべきだという議論もすでに生まれている。結論としては、巨額の資金が流れるマーケットで大儲けをするビッグゲームには、素人投資家は参入しにくそうだ。
津山恵子
ジャーナリスト。「アエラ」などにニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOなどにインタビュー。近書に「現代アメリカ政治とメディア」(東洋経済新報社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
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女子プロレスの窮地に彗星のごとく現れた「ビューティ・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」を覚えている人も多いだろう。1987年からWWEに参戦し海外での活躍を牽引したJBエンジェルス(山崎五紀&立野記代)、94年には女帝ブル中野がWWEに参戦しWWE世界女子王座を獲得するなど大活躍。女子プロレス先進国である日本のレスラーたちは、つねに世界の女子プロレスを牽引する存在だったのだ。そして長い年月を得て再び、日本の女子プロレスが海外で注目されているその実態を取材。