今年9月にアラ&
困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。
※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。
旅行が趣味の北村早紀さんは、東京の大学を卒業後、地元・福岡の銀行に就職。3年ほど勤めた後、自分の希望する業務に就く見通しが立たず、違うことをやってみようと一念発起した。転職サイトを眺めていると、「旅行業」「アメリカ」の文字が並ぶ採用枠を発見。
「『旅行の仕事ができるなんて!』 と喜んで応募したのが、今の会社だったんです」
業界も業種も全く異なり、アメリカでの在住経験はゼロ、英語も自信なし。それでもためらいなく応募し、見事採用された。出会う人に恵まれ続けて、ニューヨークでの生活は4年目に入った。
「運が良いんです」と北村さんは笑う。
顧客に「思い出してもらう」ために
オペレーション業務として、航空券やホテル、レンタカーの手配など、旅行業の基礎から勉強をスタート。1年半後に念願の営業課に異動した。信頼を得た顧客を抱え、業務を本格スタートさせた矢先に、パンデミックが起きた。
営業は顧客の声に耳を傾け、少しでも満足度の高い旅行プランを提案することが重要。「漠然とした希望には需要を聞き出し、予測を見通す力や応用して考える力が必要だと思っています」と北村さん。そうして考えた、コロナ禍での今「やるべきこと」が、「お客さまに覚えていてもらうこと」だった。
北村さんは、これまで隔週で送っていた、自作のニュースレターに一層注力することにした。現在の出入国規制やフライトの最新動向を、自分でまとめて顧客に発信。反響がよく、自分の言葉・目線で伝えることの重要さ、そして「人々が情報を求めている」という事実を実感じた。
7月ごろからは旅行愛がうずき、「安全に配慮しながら旅行はできないだろうか」と、レンタカーや電車を駆使したニューヨーク近郊での旅行をスタート。ロングアイランドのワイナリー、冬のリゾート地キャッツキル、カジノで有名なアトランティックシティーなどを巡った。
プライベートの旅行だが、見たもの・感じたことをニュースレターで発信すると、「今度行ってみます」「ためになった」と、うれしいリアクションが返ってきた。「こんな時に旅行なんて」という怒りの声を覚悟していただけに、人々が息抜きを求めていることを改めて知ったという。
挑戦は始まったばかり
新型コロナで打撃を受けた旅行業だが、「どこかに旅行したいという人々の欲はなくならない。絶対に元に戻ると思っています」と北村さん。悲観しない代わりに、今できること、誰もやっていない新しいことを模索している。社内で分担し、オンラインでの無料セミナーやインスタグラムでのライブ配信もこなす日々だ。
「会社が一丸となって団結しているのを感じます。元から目標や希望を持ち続ければ、実現に向けて働き掛けてくれる会社であるのに加え、今は若手の意見も受け入れられやすく、やりがいを感じています」
パンデミックで実働が長らく難しかった、念願の営業ポジション。北村さんの本格的な挑戦の日々は、まさにこれから始まる。
北村早紀さん
「Amnet New York, Inc」東海岸地区営業担当
来米年: 2017年
出身地: 福岡県
好きなもの・こと: 旅行
特技: 人と話すこと
早稲田大学卒業後、福岡県内での銀行勤務を経て2017年に来米。オペレーション業務を経て、19年6月より現職。最新の出入国規制の情報や、航空券情報は、ウェブサイトおよび公式LINEアカウントから情報発信中。いずれも詳しくはウェブサイト参照。
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