紅茶をめぐる冒険
初秋の訪れとともに飲みたくなるのがポットで淹れた紅茶。茶葉やブレンドによって異なる香りと味は、私たちをくつろぎと恍惚の世界に誘い、またある時は懐かしい記憶を辿る道標にもなってくれる。極上の一杯を求めて、ニューヨーク紅茶めぐりの旅、はじまりはじまり。
困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。
※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。
創業15年のベントオンは「まだ挑戦の途中」なのだと、オーナーの古川徹さんは、いつ取材しても言う。アメリカ人に日本の「弁当」の魅力を伝えるというミッションの下、ノンストップで働き続けている。仕事自体に充実感を感じるそうで、古川さんに週末の予定を尋ねても「働きます。休まないですね」ときっぱり。
ミッドタウンと金融街に店舗を構え、働くニューヨーカーの昼休憩を彩ってきた同店。しかし昨年、「オフィスに出社する」という働き方の常識が覆された。人々が弁当を手に取れなくなった中、古川さんに届いた1通のメールが、同店の運命を変える。
「外出自粛中の日本人のお客さまが、『久々にミッドタウンに行って(ベントオンの)お弁当を食べたら、すごくおいしかった。主人のために二つ買ったのに、どちらも食べてしまいました』と。そのたった1通がきっかけで、ターゲットをアメリカ人から日本人に切り替えるという発想の転換が、15年やってきて初めて生まれました」
埋もれないための発想とターゲット設定
古川さんには、以前からミールキットの構想があった。ミールキットは日本で「時短」として歓迎される一方、アメリカではレストランの料理を自宅で作るという「ぜいたく」に重きが置かれるため、「日本の家庭の味をアメリカ人に」という同社の使命とかみ合わないのが難点だった。
しかし今回のターゲットは日本人だし、何よりこの外出自粛で料理に疲れ果てている。こうしてオンライン販売に踏み切った。あちこちの日本人の要望に応えていくうちに、今や全米11州を股にかける一大ビジネスに成長。
「商売が一斉にオンラインに移行したからこそ、埋もれていくビジネスが増えました。オンラインは全世界の人に見てもらえるような錯覚に陥るのですが、アマゾンと同じような役割のサイトを作っても、もはや意味がないんです」と古川さん。「なのでミールキットの販売サイトは全て日本語で作成し、スタート時のターゲットは日本人に絞りました」
出来たてのおいしさを保つミールキットは、湯せんか電子レンジ調理で素早く食べられるのが売り。だからこそ、「最後の仕上げ」をどこまで利用者の手に委ねるのかが難しい。シソの葉は絶対に家で切って盛りつけたほうが風味がいいが、切る手間すら惜しい人だっている。
「商品開発は、課題があるからこそ面白いです」
人間はコロナに「負け」はしない
ニューヨークという街の価値は大きく変わってしまった。リモートで仕事ができてしまうから、家賃・オフィス賃貸の高額ぶりに疑問を抱く。市外への人の流出は止まらない。
「ニューヨークというブランドの需要はなくならないと思いますし、人のぬくもりは求められ続けるでしょう。コロナの脅威はいずれ終息するし、人間がコロナに負けることはない。ただ、市場価値を現状に見合う金額に作り直さないと、人々は戻って来られないのではないでしょうか」
そんなニューヨークの強みは、さまざまな人種がいるところだ。文化が多様だから、どんなニッチな商品でも、必ず誰かに刺さるはずなのだと古川さんは語る。15年前、自分が日本の弁当を売り始めたように。
古川徹さん
「BentOn」代表
来米年: 2006年
出身地: 東京都
好きなもの・こと:サッカー
特技:特になし
葛飾区出身。
実家の弁当店を手伝ううちに、ニューヨークでの日本食弁当の販売を思い立ち、来米。
現在、ロング・アイランド・シティーの工場から、日替わり弁当や総菜、ミールキットのオンライン販売を行っている(対象地域はウェブサイト参照)。
メニューはいずれも定期的に入れ替わる。
benton.nyc
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