─ハワイ最新情報・前編─ 国内旅行で人気再燃 ハワイを満喫しよう
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バラエティーな顔ぶれ
新政権が目指すもの
リベラル派市民の期待を担い、次々と大物政治家を閣僚に投入するジョー・バイデン次期米大統領。その閣僚の顔ぶれを整理してみよう。特徴は、女性と人種的マイノリティー、そして初のLGBT閣僚の起用だ。
新型コロナウイルスの感染拡大による経済立て直しを担う財務長官は、ジャネット・イエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長。財務長官としては女性初となる。FRB議長の他、過去には大統領経済諮問委員会(CEA)委員長も務めたため、財務長官に就任すれば、初の経済主要ポスト「三冠王」だ。
さらに、CEA委員長には、プリンストン大公共政策・国際関係大学院長のセシリア・ラウズ氏、行政管理予算局(OMB)局長に民主党政策スタッフのニーラ・タンデン氏が指名され、経済チーム3主要ポストが、初めて全員女性となる見通しだ。
広報チームも女性のみ
初の女性チームは、バイデン・ホワイトハウスでもう一つ誕生する。ホワイトハウス上級広報チームで、大統領報道官のジェン・サキ元国務省報道官はじめ、ホワイトハウス広報部長と副大統領報道官の3人が全員女性だ。
また、インディアナ州サウスベンドの前市長で、同性愛者であることを公表しているピート・ブティジェッジ氏が、運輸長官として指名された。初のLGBTからの起用でもあり、注目されそうだ。
同時に、国土安全保障長官にアレハンドロ・マヨルカスが、初の中南米系移民出身として指名され、国防長官は黒人のロイド・オースティン氏を指名と、人種的マイノリティーが重要ポストに抜擢される。
特徴は、女性とマイノリティーを起用しながらも、専門分野に極めて強いテクノクラートをそろえたところだ。現在、国民の20人に1人が感染した新型コロナウイルスによる経済危機と雇用の崩壊を、コロナ前の軌道に戻していく戦いに向けた布陣だ。
上院で過半数を取れるかが鍵
一方、上院において民主党が過半数を取れるかどうかは、テクノクラートの精鋭を集めたとしても、バイデン新政権が直面する大きな問題となる。
今のところ、100議席のうち共和党が50議席、民主党が48議席を獲得している。残った2議席は、2021年1月5日に行われる、ジョージア州の改選議席と補欠をめぐる決選投票にかかっている。民主党が両議席を獲得できれば、50議席プラス、上院議長となるカマラ・ハリス副大統領の投票で、ギリギリ過半数となる。過半数を取れなければ、下院の多数派は民主党、上院は共和党という「ねじれ議会」となり、バイデン政権の政策・法案は、議会を通らず日の目を見ない。
「分断」を回避できるか
米国内を見ると、引き続き「分断」が問題だ。米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ大統領に投票をした70〜80%の人が、バイデン氏が公式に勝利したと信じていない。2008年に大勝したオバマ前大統領よりも700万票超多い7400万票を今回トランプ氏が得票したという事実は重い。
「私はブルー(民主党の色)でもなく、レッド(共和党の色)でもない、アメリカ合衆国の大統領になる」と、バイデン氏。分断をどう緩和し、統一していくのか具体的なアプローチは不透明だ。
身内の民主党内の「分断」も侮れない。民主党の予備選挙中、若者に熱狂的に支持された進歩派のバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員は、バイデン政権の閣僚入りはしない見込みだ。それは、主要閣僚が就任に必要な上院での承認を得るのが難しいからだ。しかし、バイデン氏がトランプ氏に600万票もの差をつけた勝利は、サンダース氏らが主張していた最低賃金の引き上げやヘルスケアの拡大、大学授業料の無料化などを切望する多くの若者がもたらした。
バイデン氏は、気候変動問題を担当する大統領特使にジョン・ケリー元国務長官を指名した。環境問題に敏感な若者をハッピーにするためだ。
若者や黒人、女性など米社会のマイノリティーが必死に投票所に向かい、バイデン氏を勝利させた。期待に応えられるのか、不安がつきまとう船出だ。
津山恵子
ジャーナリスト。
「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOなどに単独インタビュー。
近書に「現代アメリカ政治とメ ディア」(東洋経済新報社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
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