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「続けること」が習い事の最大の優先事項です。目標としては10年間です。10年間以上続けることで、その結果はどうあれ、子どもは「一つのことを本気でやり抜いた」という自信を獲得できるのです。この自信は、子どもがその先の挫折経験を乗り越える時に大いに役立ちます。
しかしながら、10年という期間を目標とすると、習い事をする中で子どもは十中八九「やめたい」と言い出すタイミングがあります。ですが、簡単にやめさせてはいけません。
これは根性論ではなく、「やめる」という選択は子どもにとっての「失敗体験」になるからです。
スタートダッシュをうまく切れると、自主的に挑戦を始める
最初は喜んで通っていた習い事でも、少し経つと「もうやりたくない!」「やめたい!」と多くの子どもが言い出します。なぜでしょうか? それは「うまくできないから」です。
うまくできないことをやるのは、誰にとっても楽しくないのです。例えば、全く泳げない子どもをスイミングスクールに入れても嫌な経験、挫折感を味わうだけです。その失敗体験が「自分は泳げない」「運動ができない」といった認識につながってしまうのです。
いきなりポンと放り込むのではなく、まずは家庭でストロークの方法、息継ぎのタイミング、飛び込みのコツを教えてあげてから教室に入り、スタートダッシュを切らせるのが最良の方法です。
小学校時代であれば、夏休みに毎日プールに通って水泳の練習をすることで、確実に周りの子どもたちよりも突き抜けることができます。毎日付き合うのは大変ですが、特に最初の成功体験は重要で、コツコツと努力を継続し、結果を出すという経験が「自主的に努力する」というやる気につながっていきます。
やめさせるべきなのは、子どもにやる気が完全にない場合
子どもがうまくできずに「もうやめたい!」「自分には無理!」と言い出した際は、冷静に子どもの「技能」と「やる気」を見極めることが重要です。その習い事が明らかに子どもに向いていないと感じる場合は、早い段階でやめるのも一つの手です。
子どもが嫌な思いを繰り返す中では、当然自信も強みも育ちません。親が根気強く練習に付き合い、場合によってはプロのコーチなどの手を借りて、それでも上達の可能性がないのであれば、子どもにとっては失敗体験の積み重ねになり、苦痛なだけです。やる気が残っていればいいですが、そうでなければやめる選択も必要でしょう。
子どもにやめるか否かを選択させる
子どもが自分で選んだ習い事をやめたいと言ってきた場合は、子どもに「選択」を促します。「自分が選んだことをやめるのは悔しいね。それでもやめる? それとも、もう少し努力してみる? 自分でよく考えて決めていいよ」と伝えて「やめる理由」を真剣に考えてもらうのです。
よくあるケースは、(本人の希望は抜きに)親の希望で始めさせた、というパターンで、この場合は親の選択ミスだったことを素直に子どもに詫びます。「やりたくないことを勝手に選んでごめんなさい! これからはあなたの考えを尊重します」そう言ってあげてください。そうすれば、子どもはやめることが傷にならないですみます。
チームメートとうまくいかない場合
子どもがチームメートや指導者との相性が悪い、人間関係が原因で習い事をやめたいと言っている場合、そのチームをやめても習い事自体はやめてはいけません。例えば、スポーツであれば他のチームを探したり、隣町のチームに入れることを考慮してください。習い事はいかに継続させるかがもっとも重要であり、「続けてもらうために親がどうサポートできるか」にかかっているのです。
船津徹 (ふなつ・とおる)
TLC for Kids代表 教育コンサルタント
1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。
2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。
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