「報道バズ」が切り込む、現代の光と闇

制作6年のテレビドラマ、米国アマゾンプライムでついに配信スタート!

ニューヨークで新設された日系ニュースメディアの挑戦を描く「報道バズ」。制作を手掛けた「デルック」より、監督・川出真理さん、脚本家・近藤司さん、俳優・本田真穂さんの3人が、制作時を振り返る。


—今年2月の日本公開を経て、やっと全米公開が実現しましたね。

本田 パンデミックが起こって日本で思うようなプロモーションができなかったために、米国での公開は積極的に進めましたね。

川出 公開の準備も、普通ならプロセスがもっと早く進んだはずですが、一つ一つに時間が掛かりました。

制作6年以上の大作。視聴者の反応は?

近藤 日本のメディアを批判的に描いている作品で、そのことに反発を覚える人が日米どちらにもいます。でも両方の国から反応があったことには、いい意味で驚きました。アマゾンのレビューなどでは、共感や応援をしてくれる人が圧倒的に多いんです。光栄なことですが、クリエーターとして盲目になってはいけないので、忌憚(きたん)のない意見を聞くために、ジャーナリストにも見てもらうよう活動しています。

本田 個人的には、もうちょっと否定的な意見が来るかと思っていましたが、みんな優しいです(笑)。

川出 「ここはこうだったらよかった」「ここはプロの記者としては現実味がない」といった声を聞いて、反省や次につなげようと思っている段階ですね。

本田 「#報道バズみた」でツイートしてください!

作品のオススメや、見どころを教えてください。

近藤 個人的には、第2話が特に好き。マスコミと芸能プロダクションとの癒着を暴き、正義を表明した「報道バズ」のスタッフたちが、その後どうするか、という内容です。

ここ数カ月でBLM(ブラック・ライブス・マター)運動が起こり、自分の正義をSNSで公に表明することで「次の一手」が決まっていく、という体験をした人が多いと思います。そういう意味で、第2話を見て、何か重なるものが生まれたらいいな。

本田 誹謗(ひぼう)中傷を受ける女性の描写が毎話出てくるのですが、する側とされる側の両方の立場が描かれている点が、興味深いのではと思います。テーマの一つでもある「SNSの落とし穴」というか、みんなの正義感が折り合わないままぶつかっているところも見てほしいです。

川出 物語の舞台はメディア界ですが、ハラスメントや女性差別、ホームレスの話やLGBTQなど、いろんなネタが入っています。観る人それぞれの心に響くシーンが出てくるので、6話全部見てもらいたい。

「デルック」の3人はそれぞれ、どのようなクリエーターだと思いますか?

本田 (川出)真理さんは登場人物の親のような存在。セルフレスで作品を考えてくれていて、みんな絶大な信頼を置いています。

近藤 どんなに小さな登場人物でも「捨て駒」にしないですよね。「非人間的な扱いをされている登場人物がいない」という視聴者の感想にもあったように、誰にでも多面性がある様を描いてくれます。本田は演劇学校時代からの友人ですが、演技に嘘がなく、フリをしている印象がない。だから正直な主人公を演じるのが、すごくうまいなと思いました。

川出 真穂は集中力がすごい! セリフが圧倒的に多いのに、必ず覚えて来ます。そして重要なシーンは絶対に外しません。 近藤さんは…絶対にノーと言わない。脚本の相談をしても、修正して次に上がってくるものは文句ないレベルになっている。その根性が恐ろしい(笑)。

本田 寝る時間もなく献身的に働いてくれる姿は、畏怖(いふ)を感じるとしか言えないです(笑)。人間としてすごいなと。特に、いろんなことを言語化する能力がすごく高くて、制作期間中はたくさん助けてもらいましたね。

今後の活動予定は?

川出 今は作品のアイデアを温めている時期ですね。

近藤 アイデアはいっぱいあるんですが、まずこの作品が大ヒットしないと。「誰か、われわれのチームと一緒にやってくれるところはありませんか?」というのが、正直なところです。

本田 新企画はたくさんあるので、ぜひまた3人で一緒にやりましょうね!

近藤 「報道バズ」シーズン2も、絶対やりたいです。

 

 

 

■ あらすじ (全6話) ■

民放アナウンサーだった和田明日佳(本田真穂)は、日本でのプチ炎上を経て、長年の夢であったニュースキャスターになるべく渡米。ニューヨークで新設されたニュースアプリ「報道バズ」に転職し、新たな仲間と 「真実を伝えるニュース制作」を目指すが…?

Derrrrruq!!!(デルック)

川出真理、近藤司、本田真穂の3人がニューヨークで設立。第1作「2ndアベニュー」は、ソウル・ウェブフェスト2018の公式セレクションに選出された。クラウドファンディングを経て制作された「報道バズ」が第2作目となる。

 

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