今年9月にアラ&
費用と時間天びんに
多様な通学チョイス
前回は、社会人になってからの大学留学における学校選びについて書かせていただきました。今のコロナ禍の状況では、学校でも対面式の講義がないとなかなか学生ビザが発行されないので、あまりタイムリーな話題ではないかもしれませんが、大切なポイントだと思っています。
さて、今回のコロナ禍の中、オンラインの講座があちこちで開設されています。自分自身、①100%オンラインのコースと②半分オンラインで半分実際に通うコースの二つを卒業しました。今回はその二つの違いについてです。
費用の掛けどころは?
100%オンラインのコースは学位をもらえるものではなく、コースを修了した証明書(Certificate)をもらえるものでした。
コースを取ること自体は安価なのですが、コースを修了して証明書が欲しい受講生は試験を受けなくてはならず、これに費用が掛かるのです。言い換えれば、最後の試験をパスしないと証明証がもらえないので、複数回試験を受ける人も出てきて、その分費用がかさむ仕組みになっています。これには「賢いな」というか、「ずるいな」と感じました。
一方、半分オンラインで半分通学するというものは、ちゃんとした大学院で1年かかりましたし、学位がもらえました。
仕事を通して法律の知識の必要性を感じたものの、ニューヨークではフルタイムで大学院に通わなくてはならないし、アメリカは全土を通して見ても学費が異常に高い上、自分が学びたい「欧州フットボール」に関連するスポーツ法務の講座がありませんでした。
そんな中、仕事仲間より「スペインのマドリードであれば、ハイブリッドのロースクールがある」と聞き、そこに入学をしようと決めたのでした。
ロースクールなので、さすがに100%オンラインではいきません。普段は法律に関する課題がオンラインで課され、それに取り組まないといけないのですが、加えて年に3回、マドリードまで受講しに行かないといけませんでした。飛行機代やホテル代が掛かるものの、それでもニューヨークのロースクールの学費に比べれば安かったので、マドリードまで通学しました。奨学金も出してもらえて、とても助かりました。
オンラインの課題に継続的に取り組むことは、「正直挫折するかも!」という葛藤とのせめぎ合いでしたが、なんとか卒業できたことが今でも私の自信につながっています。
チャレンジしてみよう
コロナ禍なときだからこそ、このようにオンラインを活用して、今、興味のあることにチャレンジするのはとても意義があるのではないかな? と感じています。例えば、通勤に往復で1時間強は掛かるので、それをオンラインでの勉強に回すなど。
そして私は実は、現在日本の大学院の博士課程に入学し、協同研究員となっています。このような状況なので、週に2回、主査教授から研究テーマに関しての指南をいただき、それをどう研究しようかと考える日々です。
もちろん仕事との兼ね合いも大変ですが、それでも通勤をしないといけなかった時と比べると、時間的にも体力的にも十分やりくりができるものです。
100%オンラインの証明書や、ハイブリッド授業、その他「今だからこそ取り組めるもの」がたくさんありますので、ぜひ読者の皆さまも取り組んでみてはいかがでしょうか?
ビジネスは日々進化
自分は大体10年周期(2004年、14年、24年)で学校に戻っています。スポーツビジネスからは少し話が逸れてしまいましたが、スポーツビジネス界は日々進化していますし、自分自身が最先端でないといけないと感じております。
もちろん日々勉強ですし、現場を通しての学びも多いのですが、体系立ててきちんと自分を追い込まないとすぐに怠けてしまうので、こんな考え方をしております。
<今週の用語解説>
スポーツ法務
プロスポーツ選手が活躍する上での、さまざまな法的サポートを行う分野。英語だと「Sports Law」。選手のマネジメント契約の作成・修正に始まり、広告契約やマスコミ対応、スポーツチーム運営に関するさまざまな業務などを請け負う専門の法律分野だ。時には事故や私生活など、競技以外の場所でのトラブルでも、スポーツ法務弁護士の出番がある。もちろんeスポーツも対象。
中村武彦
マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。現東京大学社会戦略工学研究室共同研究員。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。