グローバル時代の子育て

その79 自分で考え、自分で選択できる力を育てる

優秀な子どもたちに共通する資質の一つに「思考力」があります。21世紀は「答えのない時代」と言われます。「人間がこなせる仕事の多くはロボットやAI(人工知能)が担うようになる」と多くの人が言っているように、この流れは加速していくでしょう。

しかし、経済状況や産業構造が大きく変化していく中でも決して悲観せず、むしろ新たなチャンスを見出し、仕事を生みだしていく、そんなクリエイティブな発想を可能にするために、自分の頭で考える「思考力」が欠かせないのです。

周りに合わせるのでなく、自分で考える

判断に迷った時に「他のみんなと同じ」「誰かがこんなことを言っていたから」と決めるのではなく、既存の枠組みにとらわれず、自由にアイデアを発想していく—情報が多く、バイアス(偏見)の多い世の中であるからこそ、必須の能力です。あらゆる分野で活躍しているエリートと呼ばれる人たちは、一分野で突き抜けているだけで終わらず、人にはない発想と視点で新たな課題に挑み、きちんと結果を出すことができる思考力を持ち合わせています。この思考力は、子どもが勝手に身に付けていくものではなく、家庭で育てられていきます。特に重要なのが親子で交わされるコミュニケーションで、優秀な子どもの育つ家庭ではさまざまな「問い」が投げかけられ、子どもは小さな時から自分で考えるクセを持っているのです。

考える力を育てる工夫とは?

•小さな選択をさせる、「YES or NO」をハッキリさせる

•選択をする際には、論理的に理由を考えさせる

つの角度からではなく、多面的な視点から物事を考えさせる

•「わからないこと」を明確にして、追求させる

•自分の本心と向き合って選択をさせる

といった訓練をしていくことで、自分の意見を持つ力、分析する力、発想する力、問題を解決する力が付いていきます。賢い親は、子どもの発想を刺激する質問をして子どもが楽しんで考えられるように仕向けているのです。

さらに日常の「問い」に加えて「読書」や「討論」などを通して身に付く「読解力」「分析力」「書く力」「知識」などの蓄積により、考える力はさらに洗練されていきます。

その結果、「テレビやネットでこう言っているから」「権威のある人がそう言っているから」などではなく、事実や根拠に基づいて、自分の頭で考えで物事を決め、常識にとらわれず発想できるようになるのです。

重要な選択を後悔しないために

何よりもなぜ思考力が重要なのかといえば、人生を後悔しないためです。人生には重要な選択をしなければならない場面がたびたび訪れます。たとえば子どもが進学先を決める時に「仲のいい友だちが行くから」「偏差値が合格圏内だから」「場所が通学圏内だから」といった理由で決めるのではなく「本当にその学校に通いたいのか?」「自分を伸ばしてくれる最適な環境か?」と、選択の質を高めてゆくためには思考力が必要になります。キャリアを選ぶ時も同じです。人生に起きる全てのことは、自分の責任で決めていくもの。しかし、思考を放棄して他人まかせにすると「あのときああしておけば…」という後悔が残り、他人に責任転嫁をしてしまうことにつながるのです。

そもそも人生に「これをしたら100点である」という明確な答えはありません。ですから、「自分が納得できる答えを導き出す」訓練をすることが自分らしい人生を生きるための方法なのです。

親が自信を持って子どもに接する

子どもの思考力を育てるには、親が自身のバイアスに打ち勝ち、周囲の情報に振り回されず、信念を持って子育てにあたることが肝心です。そして「自分の人生は自分で決めていいのだ」と子どもに一貫して伝え、重要な選択をする時は結果を想像するように促してください。

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

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