大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
今年3月下旬、ニューヨークに激震が走ったのを今でも鮮明に憶えています。新型コロナウイルスにより街全体が閉鎖され、自宅待機を求める行政命令が発行されました。数多くの感染者を始め、死者数も1日に最大2000人超えとなり、感染の深刻化が懸念されました。
突然、変化する日常
私はマンハッタンの病院にて看護士をしており、多くのコロナ感染者と身近に接してきました。
あれは1月下旬、日本から一時帰国して2カ月後のことでした。いつも通り朝7時に出勤し、私の所属するICU(集中治療室)へ足を運ぶと、見慣れない光景が広がっていました。医療従事者はPPE(防護具)を装着し、院内では感染予防対策が施されていました。次々に搬送されるコロナ感染者の対応に慌ただしく、院内は緊迫状態でした。
感染が爆発的に拡大したニューヨーク市では、不足する病床数を補うために海軍の病院船を派遣し、病床とICUの増設、また他州からの医療従事者の確保など、さまざまな対策が取られました。
毎日がパニック状態で患者数は増え続ける一方、医療器具(人工呼吸器など)やPPEの不足が深刻化して、医療崩壊の現実を目の当たりにしました。
この時期のICUでは感染者全員が人工呼吸器を装着し、心肺機能や血圧などを維持するために、何本もの点滴を必要とされていました。かなり重症度の高い感染者が入院してくるので、常に病棟は満室で、手術室やリカバリー病棟などにもICUを設けなければいけない状況でした。ICUの入院患者は完全個室での治療となり、ドアも閉鎖されます。
パンデミック初期、院内では器具や医療防護具の不足が叫ばれた(画像はイメージ)
医療従事者の抱える恐怖
感染源や感染経路などの情報が数少ない、コロナウイルスという初めての病原菌を持つ患者の対応に、このような状況の中、恐怖のあまり手が震え、心臓の鼓動が波打つ感覚が体全体に響き渡りました。入室時は脚がすくみ、「感染してしまったらどうしよう」と常に不安を抱えた状態でした。
医療従事者は自分の身を守るためにも、患者さんとの密接時間の短縮を図り、その中でどのようにケアして行くのかという迅速な対応が求められました。
そして、医師や看護士はいつ感染してもおかしくはない状況も、把握していました。同僚の中には恐怖のあまり、パニック障害を発症してしまったり、うつ状態を引き起こしてしまったりする人もいました。
〈おことわり〉
このコラムは、筆者の体験を元に構成・執筆しており、勤務病院の見解を示すものではありません。
柿沼香折さん
ニューヨーク州認定看護師。14年間で、州内の複数の病院で医療に従事。
今年3月1日からは、マンハッタンのNew York-Presbyterian/Weill Cornell Medical Centerにて勤務している。
その傍ら、個人カウンセラーとしても活動中。
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