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前回のコラムで「よい習慣」を作ることの重要性について述べました。しかし、本当に「習慣」が子どもの学力に影響するのでしょうか? カリフォルニア州立大学名誉教授、アーサー・コスタ博士の「習慣教育」に取り組んだ、ハワイのワイキキ小学校の例をご紹介しましょう。ちなみにコスタ博士の提唱する習慣とは以下の通りです。
①
やり抜く習慣…諦めない、やり続ける
②
衝動をコントロールする習慣…行動する前に考える、落ち着く
③
共感して聞く習慣…注意深く聞く、気遣う
④
柔軟に考える習慣…違う見方をする
⑤
思考を思考する習慣…思考の偏りに気付く
⑥
正確さを追求する習慣…見直す、念には念を入れる
⑦
疑問を持ち問題提起する習慣…うのみにしない、根拠は何か?
⑧
知識や経験を活かす習慣…思い出す、前にも同じことが?
⑨
明晰に考え伝える習慣…言葉を選ぶ、はっきり話す
⑩
五感を使う習慣…感じてみる、触れてみる、感性を活かす
⑪
想像、創造、革新する習慣…独創的であれ
⑫
世界の神秘と発見を楽しむ習慣…夢中になれ、よく観察せよ
⑬
チャレンジする習慣…勇敢であれ、リスクを冒せ
⑭
ユーモアを見つける習慣…楽観的であれ、おかしみを忘れない
⑮
共に考える習慣…協学せよ、殻に閉じこもるな
⑯
学び続ける習慣…興味を持ち続けよ、変わり続けよ
出典「16 Habits of Mind」Arthur Costa
習慣教育で学力停滞校からトップスクールへ!
ワイキキ小学校はハワイのごく小さな公立小学校ですが、コスタ博士の「習慣教育」を導入後、成績優秀な小学校としてブルーリボン賞(アメリカで優れた学校に贈られる最高の栄誉)を07年と13年に2回受賞しました。ワイキキ小学校は地域の子どもであれば誰でも通える公立小学校です。また、低所得者家庭が全体の38%、英語が第2言語のESL生徒が全体の30%と、教育環境としてはかなり厳しい状況です。
ワイキキ小学校は長らく学力停滞に苦しんできました。03年においては、英語の読解力の習熟度(習熟レベルに達している生徒の割合)が41%、算数の習熟度が28%と、ハワイ州の中でも学力が低い小学校でした。
ところが、習慣教育を取り入れ、劇的に変わることができたのです。08年には英語の習熟度が83%、算数の習熟度66%を記録。14年には英語94%、算数93%と、ハワイ州のトップレベルを達成したのです。
ワイキキ小学校の取り組みとは?
何をすればそんなことが起きるのでしょうか? ワイキキ小学校の実践はシンプルです。先に挙げた習慣から毎月一つをテーマに掲げ、学校と家庭が協力して子どもに意識付けるという地道な活動です。
たとえば「やり抜く習慣」がテーマなら、授業中に分からない問題に出合ったときに、「諦めないで!」と生徒同士が声をかけ合う。先生も「やり続けよう!」と励ます。家庭でも「あきらめないで!」と声をかけることを取り決めます。
子どもを取り巻く人たちが同じ言葉をかけ続けることで、必然的に子どもの意識が高まるのです。いわば、あいさつのしつけのようなものです。親、兄弟、友達、周囲の人が「おはようございます」と声を毎日かけることで、自然に「おはようございます」とあいさつできるようになりますね。
誰でも習慣は
変えられる
習慣の力は、家庭の経済環境や国籍、持って生まれた資質や才能などに関わりなく、誰でも訓練によって高められます。ただし誤解してほしくないのは、習慣の力は学校や先生の主導で鍛えるものではないということです。習慣を育てる主役は、あくまでも「親」です。家庭でのコツコツとした努力が必須になります。
船津徹 (ふなつ・とおる)
TLC for Kids代表 教育コンサルタント
1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。
2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。
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*本記事はCompary AB社によって提供されています。 メジャーリーグベースボールのロサンゼルス
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