グローバル時代の子育て

その77 よい習慣が優秀な子どもをつくる

優秀な子どもにはいくつもの行動の一致が見られます。たとえば大きな特徴の一つとして、「何事にも一生懸命に打ち込み、手を抜かない」ことです。努力を惜しまず、勉強も、習い事も、遊びも100%の力で打ち込むのです。いつでも全力を出し切るからこそ、自分の選択に後悔することなく、また失敗や成功、すべての行動から学びを得て、成長し続ける好循環ができています。

それゆえに、少々の挫折には折れない心の強さ、物事を最後までやり遂げる意志の強さ、何事もコツコツ続けるという積み重ね、より大きな目標に挑戦するチャレンジ精神などが身に付いていきます。

非認知能力に
目を向ける

「勉強しろ」と言われなくても自主的に勉強し、社会に出てからも、誰に何を言われずとも努力と研さんを続けていける。自分のやることに対してモチベーションの高い子どもに育てることができれば、将来、社会的成功を収める可能性は飛躍的に高まります。

教育界では、このような資質を「非認知能力」と呼んでいます。非認知能力はわかりやすく言うと「生きる上で不可欠だが、明確に数値化できない能力」のこと。やる気、思考力、コミュニケーション力などの能力です。この能力はどうすれば身に付くかと言うと、答えはとてもシンプルです。子どもに「よい習慣」を身に付けてもらうこと。子どもの能力を伸ばす行動を積み重ね、習慣化し、定着させるのです。優秀な子どもは、もれなく良い習慣を持っています。では具体的に、どのような習慣が良い習慣なのでしょうか?

16の心の習慣

私が最も具体的な指針として紹介しているのが、カリフォルニア州立大学名誉教授のアーサー・コスタ博士が提唱する「16 Habits of Mind」です。

①やり抜く習慣…あきらめない、やり続ける

②衝動をコントロールする習慣…行動する前に考える、落ち着く

③共感して聞く習慣…注意深く聞く、気遣う

④柔軟に考える習慣…違う見方をする

⑤思考を思考する習慣…思考の偏りに気付く

⑥正確さを追求する習慣…見直す、念には念を入れる

⑦疑問を持ち問題提起する習慣…うのみにしない、根拠は何か?

⑧知識や経験を活かす習慣…思い出す、前にも同じことが?

⑨明晰に考え伝える習慣…言葉を選ぶ、はっきり話す

⑩五感を使う習慣…感じてみる、触れてみる、感性を活かす

⑪想像、創造、革新する習慣…独創的であれ

⑫世界の神秘と発見を楽しむ習慣…夢中になれ、よく観察せよ

⑬チャレンジする習慣…勇敢であれ、リスクを冒せ

⑭ユーモアを見つける習慣…楽観的であれ、おかしみを忘れない

⑮共に考える習慣…協学せよ、殻に閉じこもるな

⑯学び続ける習慣…興味を持ち続けよ、変わり続けよ

出典「16 Habits of MindArthur Costa

これらを見ると「たしかに、優秀な人はこんな資質を持っている」と納得できるのではないでしょうか?これらの習慣が培われることで、勉強だけでなく運動や音楽やアート分野、人とのコミュニケーション能力、リーダーシップや自己管理能力などを伸ばしていくことができます。

良い習慣を一つ作る

では、これらの習慣はどのようにして身に付くのでしょうか?習慣とは日々の積み重ねであり、全てを一度に鍛えることはできませんが、一つの習慣を作ることができれば、他の習慣も加速度的に身に付きやすくなります。

まずは16の習慣の中から一つ選び、子どもにその習慣が身に付くように実践してみてください。家庭での過ごし方、声の掛け方など、親が一貫性を持って行動することで、子どもの良い習慣は作られます。

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

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