古くて新しい、とっておきのブルックリンへ

コロナ禍、無料ランチで元気を

著書で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介する当コラム。新型コロナウイルス感染拡大中は、当地の身近で起こっている状況をアップデートします。今週はフォートグリーンにある「Mark Morris Dance Center」を紹介します。


Mark Morris Dance Center(マークモリス・ダンスセンター)

新型コロナウイルスの感染拡大、貧困や人種差別問題、黒人死亡事件に対する抗議活動、暴動や略奪…。

ニューヨークは3月以降、数々の危機と直面しています。私は空っぽになった街を歩きながら心の底からショックを受け、寂しい気持ちでいました。

ダンス学校が配布

4月のある日、銀行からの帰路に街角で呼び止められました。「ランチがまだなら、ぜひどうぞ」。そこはパントリー(食料配給)やスープキッチン(炊き出し)がよく行われている教会でも学校でもなく、ロックダウン以降閉鎖しているダンス学校でした。

しかもバレエ、コンテンポラリー、ヒップホップなどさまざまなダンスを教えている本格的な学校です。振付師でアートディレクターのマーク・モリスさんが1980年に旗揚げした舞踊団の本拠地。2001年よりブルックリンで人々に門戸を開いています。

近所に住みながら、こんな本格的なダンス教室があることを知りませんでした。配給のボランティアの人は「みんな大変な時期です。食べ物に困っているローカルの人をはじめ、失業したダンサーやエンターテイナーに元気を与えられれば」ということでした。

渡された紙袋には2食分のランチが入っていました。アーティチョーク入りのパスタと、ナスをすりつぶしたメニュー。これまで食べたことのない香辛料が使われ、自分では決して再現できない味を体験することができました。

ダンス学校が企画した人々に元気を与える無料ランチ。さまざまな人や団体の愛情や思いが込められていて、毎日日替わり

 

きちんとソーシャルディスタンシングを守って並んでいた

 

シェフも支援

広報のローラ・ジアナテンポさんによると、無料ランチを可能にしているのは、食料配給団体ワールド・セントラル・キッチンと、調理担当のハニーフラワー・フーズの提携。ワールド・セントラル・キッチンはコロナ危機を乗り越えるために、「#ChefsForAmerica」という活動を立ち上げ、失業したシェフに働く機会を与えて支援しています。

偶然出合った無料のランチでしたが、その裏側にはさまざまな団体や思いが込められていたのでした。配給は月〜金曜日の午後12時30分〜2時30分(なくなり次第終了)。

この日のメニュー。とてもおいしかった

 

学校の校舎。早くキャンパスがオープンすることを願いたい

 

 

All Photos © Kasumi Abe

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1158

今が旬のフルーツ狩りに行こう!

ニューヨークでもさまざまなフルーツが旬を迎えている今日この頃。自然に囲まれながら、甘くておいしいフルーツを思う存分堪能できる楽しいフルーツ狩りに、家族や友人と出掛けてみては?

Vol. 1157

魅力満載のグリーンポイントを解剖!

川を挟んでクイーンズのロングアイランドシティーと面するブルックリン最北端のグリーンポイントは、昔ながらの街並みと店を残しながらもトレンディーな店もあり、イーストリバー沿いは開発も進む注目のエリアだ。さらに進化する最近のグリーンポイントを歩いてみよう。

Vol. 1156

フェリーに乗って行く週末のプチお出掛け 〜スタテン島編〜

マンハッタン区南端からフェリーに乗ってわずか25分。通勤圏内にもかかわらず、住民以外で訪れる人が少ないスタテン島。しかし意外にも見どころはたくさんある。今号は「近くて遠い」スタテン島の魅力に迫る。

Vol. 1155

知って得する! NYの物件事情

ポストコロナの今、ニューヨークで生活をしていると、インフレの影響もあって物価の高騰を実感せざる得ないだろう。もちろん不動産の価格も上がり続けている。物件探しのコツをつかんで、いい住まいを早めに押さえよう!