スペシャリストに聞く ④賃貸と売却(古本不動産)

今月のテーマ:不動産購入の基礎

自分で住むだけでなく、賃貸経営をして利益を得ることも一つの手。また、アメリカではある程度住んだら売却して、新たな物件に住み換えることが一般的だ。連載の最終週は、物件の運用にまつわるティップを解説。

 

Q. 投資用物件を買うのはどんな人ですか?


A.

私のお客さまでは、資産の分散目的で購入される人がほとんどです。ニューヨークは利回りが低いですが、日本と違って物件価値が落ちず、安定した賃貸収入が見込めます。また長期保持の予定の人は、キャピタルゲインも期待できます。

クイーンズ区やブルックリン区の物件も資産価値は落ちないと思いますが、購入後の賃貸経営などを考えると、市場価値が安定しているマンハッタン区の物件が選ばれる傾向にあると思います。

ニューヨーク市内の最近の投資物件のトレンドは、マンハッタン区のハドソンヤードではないでしょうか。第二のコロンバスサークルといわれ、住宅だけでなくオフィスや店も多く移動しています。ハイラインからチェルシーマーケットの近辺も大変人気です。

 

Q. 投資物件を購入する際のポイントは?


A.

投資用物件は、海外居住者だと特に現金購入が多いです。モーゲージが組める場合もありますが、金利は住居用より高くなる場合がほとんど。

コープ物件は購入者が入居することが前提となるので、投資用物件は、自動的にコンドミニアムに限定されます。コンドミニアムはコープに比べてボード審査が比較的寛容で、面接もありませんので、購入がスムーズだと思います。

「貸しやすさ」は物件を保持する上で重要なポイントだと思いますが、やはり立地が第一です。物件の質や、その他の条件も検討する必要があります。現在はマーケットが比較的緩やかで、たくさんの物件が売りに出ています。買い手市場といわれ、値段も下がっていますので、投資に最適な時期と言えます。

 

Q. 物件の選び方のポイントは?


A.

建物の設計やデザインでは、使いやすくシンプルなデザインのものをお勧めします。賃貸の場合、居住者の好みで自由にデザインができる物件の方が貸しやすいですね。

 

Q. 物件売却での注意点やポイントを教えてください。


A.

アメリカでは、物件をだいたい7年で買い替える人が多いです。日本では「一生に一度の買い物」というイメージを持たれがちですが、今住んでいる物件の価格が上がったら、思い切って売却して、ワンランク上の物件に住み変えてみてはいかがでしょう。

手続きは、基本的に不動産業者に一任します。売却価格を決定する際は、市場価格よりほんの少し値引いた価格をお勧めしています。これは不動産業者にアドバイスを求めた方がいいですね。

売り出したら、家を魅力的に保ち、見学者の気を引くことが大切。モデルハウスのような状態を保つか、退去して物件を空にすることをお勧めします。

購入のオファーがあった場合、今度は売り手である自分が、買い手の財務状況やモーゲージを確認する必要があります。購入者がモーゲージを組む際は、「万一モーゲージが組めない場合には契約をキャンセルできる」という条項を付けることがほとんどです。現金購入者はそのキャンセル条項がありませんので、値段が少し下がっても、確実な現金購入を選択した方がいい場合もあります。

〈おことわり〉

当社は、掲載記事の内容に関して、一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

 

北川七菜子さん

ニューヨーク州ブローカー免許保持、同州不動産協会会員、認定交渉専門家。
住宅売買・賃貸のスペシャリスト。
特に投資物件に関しての知識が豊富。
バレリーナとして、カナダ、ヨーロッパ、アメリカで活躍後、2008年より現職。

 

Furumoto Realty of NYC, Inc.
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