グローバル時代の子育て

その67 ソーシャルな子どもに育てる

日本の子育てで見落とされがちなのが「ソーシャルスキル」です。これは集団や社会の中で周りの人たちと良い人間関係を形成する力のことです。ソーシャルスキルが高い子どもは現地校にスムーズに適応し、友だちに恵まれ、海外での生活を楽しく過ごせるようになります。

ソーシャルスキルは教えなければ身に付かない

ソーシャルスキルにはマナー、聞く力、話す力、共感する力、調和する力、感情をコントロールする力など、対人関係に関わる全ての技術が含まれます。ソーシャルスキルの多くは自然に身に付くものではありません。子どもの成長に応じて段階的に教えてあげることが必要です。

多様な文化が共存するアメリカでは、ソーシャルスキルは人間関係を円滑にし、無用な誤解やトラブルを避け、日常生活をより快適にするための技術として、どの子どもも身に付けておくべき基本的生活技術です。

ソーシャルスキルは「技術」です。性格が内気で、人付き合いが苦手という子どもでも、きちんと教えることによって、周囲の人との関係を良好にすることができます。人付き合いのコツが分かると子どもは、対人関係面での自信を深め、より積極的にさまざまなことにチャレンジできるようになります。

 

人付き合いが苦手な子を放っておいてはいけない

友だちが作れない、極端な引っ込み思案、極端に攻撃的など、人付き合いが苦手な子どもを「持って生まれた性格だからしょうがない」と放っておいてはいけません。繰り返しますが、子どものソーシャルスキルは改善できるのです。家庭において、人付き合いのルールを教えてあげましょう。笑顔であいさつする、相手の目を見て聞く、話を最後まで聞く、うなずき共感しながら聞く、感謝の言葉を伝える、丁寧な言葉使いをする、大きな声で話す、どれも当たり前のルールですが、きちんとできていない子どもがほとんどです。

人付き合いが苦手という子どもには「笑顔であいさつ」を教えてあげてください。知り合いの人と出会った時、それまで無愛想だった子どもがニッコリほほ笑んであいさつできれば、相手の対応がガラリと変わります。人付き合いのルールを実践すると、子ども自身が楽しく、明るい気持ちになることを体験させましょう。

難しく考えずに実践してみよう

家庭でもソーシャルスキルの育成に目を向けましょう。と言っても、難しく考えることはありません。まずは日本の小学校の授業でよく取り上げられる「聞き方名人」「話し方名人」を実践するだけで十分です。親子の間で練習して、少しずつ学校で試すように促してみてください。

【聞き方名人  あいうえお】

「あ」あいてを見て

「い」いっしょうけんめい

「う」うなずきながら

「え」えがおで

「お」おわりまで聞く

【話し方名人  かきくけこ】

「か」かんたんな文で

「き」きこえる声で

「く」くちを大きく開けて

「け」けっして慌てずに

「こ」ことば使いに気を付けて話す

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

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