サミュエル・&#
日本人の子どもが英語を身に付け海外の学校に適応していく道のりは、平たんではありません。多くの子どもは十分なサポートを得ることができないため、自分の力で英語力と学力を伸ばしていかなければなりません。
学校のサポートだけでは足りない
移民の国アメリカは、英語を母語としない子どものサポートが充実しています。どの学校にも英語サポートプログラムが存在します。しかし、学校のヘルプだけで満足な英語力を身に付けられる子どもはわずかなのです。大半の子どもが授業に付いていけず、学習面で困難を抱えます。
なぜ外国人の子どもが英語習得で苦労するのでしょうか?一番の原因は家庭でのサポート不足です。子どもが英語力を身に付けるには、学校のサポートに加えて家庭でも予習・復習をすることが不可欠です。日本の小学校に通い始めた子どもに両親が日本語の読み書きを教えてあげるように、英語の学校に通い始めた子どもには、家庭でも英語を教えてあげなければならないのです。
両親とも英語が苦手という場合、子どもの英語教育を学校任せにする傾向がありますので要注意です。家庭でも英語サポートを与えないと、子どもは「自分は勉強ができない」と、自信喪失してしまいます。
先生とコミュニケーションをとる
子どもがスムーズに英語力を身に付けるには、両親が担任の先生との関係を密にすることが近道です。先生と仲良くなることで、家庭でどのようなサポートをするべきなのか、より親身なアドバイスを得ることができるようになります。また先生に子どものことを知ってもらうことができますから、適切な教育指導が期待できるようになります。
英語が苦手という両親にとって、先生とのコミュニケーションはハードルが高いと感じるかもしれませんが、子どものためですから勇気を出して、毎日の挨拶から始めてみてください。学校のカンファレンスは先生と仲良くなるチャンスです。家庭の言語環境、海外滞在歴、子どもの性格、趣味や興味など、先生が知らない情報をできるだけ多く伝えてください。
親が関わると子どもは伸びる
言葉も文化も異なる海外の学校で一日の大半を過ごす子どもは、毎日が不安の連続です。それでも頑張っている子どもの気持ちを理解し、両親も精一杯サポートを与えることを約束してあげてください。
家庭では子どもと一緒に学校の宿題や課題に取り組みましょう。両親が助けてくれることを子どもが実感すると、精神が安定し、集中力も高まり、学力が向上していきます。
小学校レベルの学習内容であれば、英語が苦手という両親でも手伝うことができるはずです。多くの日本人子弟が、英語力の弱さから「自信喪失」に陥ります。英語が分からなければ授業も理解できませんから、「自分は勉強ができない」と思い込んでしまうのです。一刻も早く、授業で必要なレベルの英語力を獲得できるよう両親は最大限のサポートをしてください。
船津徹 (ふなつ・とおる)
TLC for Kids代表 教育コンサルタント
1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。
2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。