グローバル時代の子育て

その64 フォニックスとサイトワーズ

トロント大学のジム・カミンズ博士は、英語を第二言語で学ぶ子どもが学習英語力(授業で必要な英語力)を習得するには、5〜7年を要するという調査結果を発表しています。

少し想像力を働かせれば分かりますが、5年も授業が分からない状態が続けば、誰でも「自分は勉強ができない」と自信喪失してしまいます。子どもが現地校に通うのであれば、家庭でも英語の読み書きをサポートし、学習英語力の習得をスピードアップさせることが大切です。

フォニックスが学習英語力の始まり

英語のリーディング指導は「フォニックス」でスタートします。フォニックスは英語の「ひらがな五十音」に相当します。ひらがなを覚えなければ日本語が読めないように、フォニックスを覚えなければ英語を正しく読むことはできません。

フォニックス指導の難点は発音が難しいことです。英語が苦手という両親がサポートするのは困難です。例えば、〈fan/うちわ〉と〈fun/楽しい〉の発音を使い分けられる発音力が要求されます。

家庭でフォニックスをサポートする時は、スマートフォンアプリや、ネイティブの音声が収録されているメディアを活用してください。家庭教師や塾に頼る場合は、フォニックス指導経験がある先生を選んでください。フォニックスを適切に指導するには専門的な知識が不可欠です。

サイトワーズを先取りする

フォニックスで3〜5文字単語が読めるようになったら、サイトワーズと呼ばれる頻出単語を教えます。サイトワーズにはいくつかの異なるリストがありますが、最も一般的なのが、「Dolch Sight Words」と呼ばれる約300単語のリストです。この300単語を覚えることで、あらゆる英文の約65%が読めるようになるといわれています。英語圏の学校では、サイトワーズをスペリングテストで覚えさせます。毎週10〜20単語のリストが配られ、それを週末にテストするのです。家庭では書き取り練習をさせて、いつも100点が取れるように、準備してあげてください。

サイトワーズは家庭で先取りして教えることをお勧めします。サイトワーズのリストはインターネットで簡単に入手することができます。リストをプリントアウトして子どもの目に入る場所に貼っておきましょう。さらにサイトワーズのワークブックを購入して家庭で取り組ませましょう。

簡単な絵本を読ませる

フォニックスとサイトワーズを覚えると、簡単な本が読めるようになります。でも、この段階では子どもは拾い読みをしており、スラスラと文章を読むことはできません。拾い読みからスラスラと読めるようになるまでのプロセスが、リーディング力習得における最大の難所です。

有名なDr.Seussの絵本は英語圏の子どもたちが最初に読む本です。

Dr.Seussの絵本は文章がサイトワーズとフォニックスの組み合わせで構成されているので、文字を習って間もない子どもでも自力で読み進めることができます。ぜひお子さんのリーディング強化に活用してください。

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

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