グローバル時代の子育て

その62 生活英語と学習英語

子どもが身に付ける英語力には、生活英語力」と「学習英語力」があります。「生活英語力」は社会生活を送るために必要な英会話力。「学習英語力」は学校の授業で要求される読み書きや読解力など、認知や思考を伴う英語力です。

生活英語力は
自然に身に付く

「生活英語力」は日常生活の中で体得していく力で、子どもが現地校(完全英語環境)に2〜3年通えば自然と身に付けることができます。例えば3歳から英語のプリスクールに通っている子どもでしたら、小学校に入学する6歳には、ネイティブ発音で英語を自在に操るようになります。生活英語力は年齢が小さいほど、また社交的な子どもほど、スムーズに身に付けることができます。

子どもの生活英語力の体得を促進する習い事に、ダンスや演劇など身体を使った集団活動があります。生活英語は教科書で学ぶよりも、他者とコミュニケーションをとる経験をたくさん積むことで効率的に身に付きます。欧米では、演劇が子どもの言語習得に寄与することはよく知られており、英語を第二言語とするESLの生徒指導に演劇のテクニックが取り入れられています。

 

 

学習英語力の入り口は
リーディング力

「学習英語力」は、英語環境に浸っても自然に身に付くことはありません。学校の指導、両親のサポート、そして子ども自身がコツコツと努力を重ねることで習得していく力です。英語を第二言語とする子どもの学習英語力が学年平均レベルに達するには5〜7年掛かるといわれています。学習英語力の習得プロセスをいかに短縮できるかが、子どもの学業パフォーマンスを大きく左右します。

日本人の子どもが現地の小学校で抱える共通の問題が読解力、語彙力、作文力の不足です。これらは子どもに「リーディング力」が身に付いていないことが原因で起こります。英語で書かれた本がスラスラ読めるようにならなければ、学校の勉強に着いていくことはできません。満足なリーディング力が身に付いていない子どもは英文を読むスピードが遅く、読んでも内容理解が低いため、学習の進度が遅いのです。欧米の小学校は、概して生徒のリーディング指導に熱心ですが、その理由はリーディング力が子どもの学力を決定付けるからです。

両親のサポートと
学校との連携が不可欠

「うちの子は英語ペラペラだから大丈夫」と、英語を話せることに安心してリーディング力の育成を怠ると、子どもが学校の授業で苦労することになります。

家庭では英語の読書時間を作ったり、子どもと図書館に行って、レベルに合った本を選んだり、親子で英語のリーディングに親しむ環境作りを心掛けてください。また、学校の先生とのコミュニケーションを密にして、子どもの弱点やつまずきを見逃さないようにすることが大切です。リーディング力が身に付くまでは、先生と親が伴走して、子どもがスムーズに走り出せるように支えてあげてください。

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

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