America Ootoya Inc. 社長兼CEO 永瀬祐二

「大戸屋」が2012年にマンハッタンのチェルシーに初出店を果たしてから、早8年。現在マンハッタンに3店舗を構え、昨年にはニュージャージー州に連結子会社を設立した。「今後は西海岸、ヨーロッパへと出店計画を拡大していきます」との意気込みを見せるのは、「America Ootoya Inc.」社長兼CEOの永瀬祐二さんだ。日本でも知名度のあるレストランチェーンの、海外展開の陣頭指揮者のビジネス哲学とは、どんなものなのだろうか。

「とりあえず、オーダーされた仕事に対して、絶対にノーと言わないようにしています」

そう、さらりと言ってのける姿が印象的な永瀬さんの経歴を紐解くと、大戸屋勤続20年。同社が企業として成長する歩みを、二人三脚のように寄り添いながら進んできた一人でもある。埼玉県の店舗でアルバイトをスタートし、その後、社員として入社。三軒茶屋店、東陽町店の店長、営業部長などを歴任し、頭角を現してきた。

そんな永瀬さんは、「株式会社大戸屋」を設立して当時社長を勤めていた、「ミスター大戸屋」こと故・三森久実氏の「キモ入り」社員の一人として、厳しい指導を受けていたのだという。

「若いころ、三森社長に相当厳しく、大戸屋のスタイルをたたき込まれました。三森社長から一番指摘を受けたのが私です」

「にっぽんの家庭食」をお手本としたメニューは店内調理食を徹底。仕込みから店内で行い、食の安心・安全を客に届けるという、大戸屋のDNAは海外でも忠実に受け継がれている。

永瀬さんは、同社が勝負に出ないといけない重要な局面に登場する。香港進出、タイ進出でも自ら現地で指揮をとった。アメリカでの店舗展開は険しい道のりもあったが、「あくまで気負わず、臨機応変に」というスタイル。空手と柔道で鍛えられた体育会系マインドはあるものの、柔軟性の高さも自負する。

アメリカでの店舗拡大に向けた社員育成では、日系企業にありがちな、型にはまった厳しいルールは設けないそうだ。「現地スタッフの良さを生かしながら教育しています」。自らユニフォームを着てキッチンに入り、現地スタッフに、大戸屋の大切にしているサービスのあり方を見せることも、情熱があってこそできるものだろう。

「5年以内に、マンハッタンで10店舗体制にしたい。もちろん他州へも出店を拡大したいので、現地スタッフの多様性も、どんどん取り入れていきたいです」

熱意の裏には、今は亡き三森社長の情熱を受け継ぐ、真摯な人柄が見え隠れする。

永瀬祐二(ながせ・ゆうじ)

■埼玉県出身。
店舗アルバイトを経て、1999年に大戸屋に入社。
日本での店舗店長、営業を歴任し、2013年に「大戸屋アジア」のプレジデント兼CEOに。
17年より現職。
現在マンハッタンで3店舗を展開。
ootoya.us

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1114

楽しい夏こそ紫外線対策!

太陽が燦々と照りつける毎日、外で楽しく遊べる季節だからこそ、きちんとした知識を持って、紫外線対策をしたいところ。紫外線に当たることで起こるさまざまな弊害も今号できちんと把握しておこう!

Vol. 1113

ちょっとそこまで  魅惑のシティーアイランド

ブロンクスにあるシティーアイランドは、シーフードやマリンスポーツをはじめ、のんびり散歩も楽しめるという魅力的な海辺の街。知る人ぞ知るリゾート地なだけに、訪れたことがないという人も多いかもしれない。そんなシティーアイランドの見所をたっぷりご紹介!

Vol. 1112

この夏は野球アツい!

野球大国であるアメリカ。シーズン真っ最中のMLBの観戦はもちろん、ここニューヨークでは日本人チームによる草野球も盛り上がっているようだ。そんな幅広い野球の魅力を今こそ語り合おう!

Vol. 1111

いよいよ経済再開! ニューヨーク復活へ

6月24日、ついにニューヨーク州の非常事態宣言が解除された。新型コロナウイルスのあらゆる制限が解除となり、約1年3カ月ぶりに本格的に経済再開を果たしたニューヨーク。街は復活に向け着々と進んでいる。