グローバル時代の子育て

その57 たくましい子どもに育てる

海外の子育てで一番に考えていただきたいのが「自信育て」です。海外の学校生活は、子どもにとって心が折れる経験や失敗・挫折がつきものです。ですから「自信」を大きく育ててあげることが大切なのです。「自分は必ずできる!」「海外でもやっていける!」という「自信」があれば、世界中のどこでもたくましく生き抜いていくことができます。

子育ては自信育て

「自分はできる!」と心から信じている子は、勉強にもスポーツにも人間関係にも「積極的」で「前向き」な性格になります。そして環境の変化や困難を恐れない「勇気」と「根性」に満ちあふれた子どもに育ちます。

グローバル時代を生き抜くために不可欠な「自信」ですが、集団の秩序を重視する日本の子育てでは「育ちにくい」面があるので、注意が必要です。

自信の源泉は、子どもが自分の意思でやったことが「自分でできた!」という「成功体験」です。つまり、子どもの自主性を尊重して、子どもがやりたがっていることをやらせてあげなければならないのです。

自由と制限の
バランスが大切

他人へ迷惑を掛けないこと、集団のルールを守ることを重んじる日本では、子どものやりたいことを自由にやらせるよりも、子どもの行動を制限しようとする場面が多いのではないでしょうか。

子どもの行動をコントロールできる親、きちんとしつけている親が「いい親」であり、集団のルールを守れる子が「いい子」である。そんな雰囲気が社会を覆っていて、親子に無言のプレッシャーを与えています。

もちろん、公共の場や集団内のルールを教えることは大切です。しかし、親が過剰に「あれしちゃダメ!」「これしちゃダメ!」と子どもの行動を制限していると、「自信育て」において、まずい結果を招くことになるのです。

 

 

過干渉は自信を奪う

繰り返しますが、子どもの自信を育てるには「成功体験」の積み重ねが必要です。親の干渉をできるだけ少なくして子どもが自分の意思で行動できる環境を作らなければなりません。

外の世界は何かとルールがうるさく、世間の目が心配という人は、家の中だけでも、子どもへの干渉を減らす努力をしてください。2歳児が靴下を履こうとしているのを、待てない親が手伝って履かせてしまう。自分でコップから水を飲もうとしているのを、親が手を出してしまう。子どもが自分の意欲でやろうとしていることを親が先取りする行為を「過干渉」と言います。過干渉は必ず子どもから「やる気」を奪い「自信」を減退させます。

子どもにやらせて
親は見守る

「人の手を借りずに自分でやってみたい」「自分で試してみたい」というのは人間の自然な欲求です。それを「危ないから」「時間が掛かるから」と親が横取りしていれば、子どもがやる気を失っていきます。

2歳児でも12歳児でも、「自信育て」を考えた場合、親は「手出し・口出し」したい気持ちをグッとこらえて、子どもを「見守る」ことが大切です。もちろん子どもの生命の安全のための干渉は必要です。どこまでが必要な干渉で、どこからが過干渉になるのかをしっかりと見分け、子どもの自主的なやる気をつぶさないように配慮してください。

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

 

 

 

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