大学進学を考える 日本と米国、二つの国で学び暮らす選択
コロナ禍を経験して社会は大きく変わった。日本社会も例外ではない。未来を見据えて、グローバルな大学進学の選択肢の一つとして、米国と日本で自分たちのルーツを生かす学びについて掘り下げる。
SBVフィテッセに移籍が決まった本田圭佑選手ですが、オランダでも常に上位に食い込む名門クラブとのことで、さすがだな、と感じております。
過去にも安田理大選手、太田宏介選手、ハーフナー・マイク選手など、日本人選手も多く所属しています。また、読者の皆さまが住むニューヨークを本拠地とする、ニューヨーク・レッドブルズのアカデミーから育った、アメリカ代表のマット・ミアズガ選手も、SBVフィテッセに所属したことがあります。
サッカー好きの皆さまの中で、オランダといえば、若い選手を獲得して育て、欧州のビッグリーグに移籍をしていくイメージが強いかと思います。実際、本田選手もロシアに移籍する前、オランダリーグのVVVフェンローで頭角を表した経緯があることは、皆さまの記憶にも新しいのではないでしょうか?
現在、私がメジャーリーグサッカー(MLS)のアジア担当スカウトを務めさせていただく中で、よく「若い選手」という言葉を耳にします。
選手の売り込みがあったとき、大体最初は履歴書を見るところから始まります。見る履歴書の数も多いので、やはり着目するポイントは似ており、数字や年齢を見がちになります。
ここで「若くないといけないのか?」となりますが、それが全てではありません。また同時に「日本人選手はどう思うか?」とよくいわれますが、国籍は関係なく、よい選手かどうかが全てとなります。これは年齢にも当てはまることで、若い、若くない、よりも「良い選手か、否か」が最大の判断基準となります。
履歴書を一通り見た後、ビデオや実際の試合で選手の動きを観ることになります。自分が思うMLSのよいところは、実際に選手に練習に参加してもらい、自分たちの目で観ることを、とても重視している点です。選手のプレーを、目の前で実際に自分の目で観て、話をして、人となりを知るのと、履歴書から情報を得るのとでは、当たり前ですが大きな差があり、単純に年齢で弾いてしまうことはできません。
日本の企業でも、就職活動や転職活動では年齢などを記載する欄がありますが、アメリカでは年齢はおろか、顔写真も添付はしません。そのような事象で判断をしてしまうのは、差別につながるからです。
その点、MLSのスカウトをしていると、MLSのチームの姿勢は好ましいと考えています。
もちろん「練習参加に際しての費用は誰が負担するのか?」とか、「そこまで移動することが大変だ」という指摘や、練習参加したものの契約してもらえなかったときの、時間や他チームとの契約機会のロスなどは勘案しないといけないのですが、自分で見るという姿勢はなくてはならないのではないかと考えます。
本田圭佑選手が移籍を決めたオランダのサッカーチーム「SBVフィテッセ」は、黄色と黒がテーマカラー
一方でMLSは、ビジネスの側面でも、世界的に随分と進んでいるリーグです。それゆえ、高い選手を獲得するときほど、マーケティングの方からもリターンを考えます。
例えばデービッド・ベッカム選手をMLSのLAギャラクシーが獲得をしたとき、どれほどチケットが売れるのか? どれほどレプリカユニホームが売れるのか? なども考慮して獲得に動いていました。
スポーツビジネスとしては当然のことです。高価な選手を獲得して必ず優勝できるというものではないので、当然、ビジネスリターンも頭に入れてチームは選手獲得に動くものです。
本田選手の今回のフィテッセへの移籍ニュースの中で「年齢が高い」という指摘も見受けましたが、年齢だけでは選手は測れるものではありません。良い選手かどうか、マーケティングにも価値があるか否か、さまざまな要素を組み合わせて今回の移籍が成立したはずです。
本田選手の活躍を再び見れることを、心待ちにしております。
エールディヴィジ
本田圭佑選手が過去に在籍したVVVフェンロー、そして移籍するSBVフィテッセが所属する、オランダ・プロサッカーの1部リーグ。国内18クラブが激突し、優勝クラブは次年度のUEFAチャンピオンズリーグの出場権を得ることができる。同時に、最下位になったクラブは、2部リーグであエールステ・ディヴィジの優勝クラブと入れ替わるシステムだ。
2019-20年度のUEFAチャンピオンズリーグには、AFCアヤックスが参戦。同リーグではこれまでに4回優勝している。
中村武彦
マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。
08年アジア市場総責任者就任、パンパシフィック選手権設立。
09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。
ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。FIFAマッチエージェント。
リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。
困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「
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