グローバル時代の子育て

その56 算数はバイリンガルの命綱

海外の学校に通う日本人子弟にとって、「算数」は大切な教科です。英語を第二言語とする子どもたちは、現地校の勉強に適応できず「自分はムリ!」と自信喪失しがち。そんなバイリンガルを救ってくれるのが、「算数」です。

英語力が弱くても、数字を扱う算数の授業にはついていくことができます。概して、日本人の子どもは計算が得意です。きっと家庭でも計算問題に取り組ませているのでしょう。「計算力」に関しては、外国人のクラスメートよりも優れている子が多いのです。他の教科では太刀打ちできなくても、算数では「自分は負けない!」という自信を得ることができるのです。

計算はいくら先取り
させても構わない

日本人の子どもにとって、算数(計算)は強みです。強みは大いに伸ばしてあげてください。日本には優れた計算プリントがたくさんありますから、それらを活用してください。「計算」については、学校の授業ペースに合わせる必要はありません。どんどん先取りさせましょう。

また、日本の「そろばん」を習わせるのもお勧めです!そろばんは、計算力はもちろん、イメージを操作する力や思考力も鍛えてくれます。「暗算」ができる子は、「どんな魔法をつかっているの?」と世界中で驚かれます。

インド人は、様々な数字トリックを使って暗算することを「遊び」として学びます。車のナンバープレートの数字を足したり掛けたりして切りの良い数字を作ってみたり、どう計算したら楽で正確なのかを考えたり、頭の中で数字を操る訓練を、遊びの中で鍛えているのです。

 

 

文章題はクリティカル
シンキングが必要

「計算」は得意な日本人ですが、問題は「算数の文章題」です。実社会での応用力を重視する海外の算数は、「文章題」がやたらと多いのです。当然、文章題を解くには英語の「読解力」が要求されます。

さらに「クリティカルシンキング=批判的思考力」を重視する海外の算数は、わざとミスを誘うような問題が多いのです。「批判的思考」とは、問題の本質を見極め、適切な問題解決を行う思考法です。

欧米流の文章題に対応するには、英語の「算数用語」を「正しく」理解することが不可欠です。たとえば、「More than 3」 は「3以上」ではありません。「3より大きい数」です。「Greater than 3」も「3以上」ではありません。「3より大きい数」です。「No less than 3」は「3以上」です。「3」を含みます。「Less than 3」は「3未満」です。「3」は含みません。

他にも、「leastmost」「smallestgreatest」「more」「fewer」「half」「halves」「quarter」「hundredstens」「ones」などの英語の算数用語を、正しく理解させてあげてください。

シンガポールマスは
効果あり!

シンガポールマスは、計算の視覚化、文章題の視覚化を通して算数の問題を解いていくものです。日本式とは少し手順が違いますが、英語の文章題の練習に効果的なのでドリルを購入し、家庭でも取り組ませることをお勧めします。

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

 

 

 

NYジャピオン 最新号

Vol. 1273

トランプ大統領による新政権 第2章が遂に動き出す

米大統領選挙は今月5日投開票され、米東部時間6日午前5時30分過ぎに共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78)の勝利が確実となった。一方、民主党候補だったカマラ・ハリス副大統領は6日午後、首都ワシントンで演説し敗北を認めた。支持者らに向け、理想のために戦うことを「決してあきらめない」よう訴え、「この選挙結果は私たちが望んだものではない」としながらも、平和的な政権移譲が必要だと強調した。1期目とは全く異なると言われるトランプ政権2期目の行方はいかに。

Vol. 1272

リトルポルトガル味めぐり

ニュージャージー州ニューアークはポルトガルからの移民とその子孫が多く暮らしていることで有名だ。今週は日本人の舌にも合うポルトガルの味を探訪、併せてリトルポルトガルの成り立ちにも迫る。

Vol. 1271

冬に飲みたくなる、贈りたくなる ウイスキー魅力再発見

ウイスキーといえば、近年ジャパニーズウイスキーが世界で注目を集め、希少価値も上がっているようだ。ウイスキーには、シングルモルトや、ブレンデッド、グレーンなど種類によって味が異なり、銘柄ごとの個性を楽しめるのも魅力だ。そこで今回は、ニューヨークでウイスキーの魅力を再発見してみよう。