グローバル時代の子育て

その52 英語圏の英語指導

海外で暮らす日本人の子どもが、現地校に対応できる英語力を身に付けていくのは、長く険しい道のりです。英語力には日常生活で獲得していく「生活英語力」と学習活動によって獲得する「学習英語力」があります。

生活英語力は子ども同士の交流の中で自然と身に付いていきますが、学習英語力は周囲からの適切なサポートなしでは獲得できません。もちろん現地校に通えば、どの子も「英語」で授業を受けます。しかし、英語を第二言語で話す子どもが、英語で授業を受けているからといって、ネイティブと同じレベルの学習英語力を身に付けられるわけではないのです。

例えば、日本で暮らす移民の子どもが、日本の学校で「国語」の授業を受けても、日本人と同じレベルの日本語力が身に付かない、と言えば分かりやすいでしょうか。

 

ランゲージアーツが
国語科の総称

英語圏における英語科は「ランゲージアーツ」と呼ばれます。ランゲージアーツは英語の4技能(読む、書く、聞く、話す)を指導する教科と考えてください。

授業では、対話・質問・説明・報告の方法、議論やディベートの進め方などの「聞く・話す」技術、そして、文字の読み書き、本の選び方、本の読み方、文章の分析方法、批判的に読む方法、日記・作文・感想文の書き方、文法ルール、プレゼンテーションの方法など、「読む・書く」技術が訓練されます。

英語の各技能を細かく、系統的に積み上げていく点が日本の「国語」とは根本的に異なります。また、日本人になじみが薄い、クリティカルシンキングやコミュニケーションスキルなども「ランゲージアーツ」で指導されます。

 

 

小学校では最重視
リーディングの必要性

ランゲージアーツの中で最も重視されるのが「リーディング」です。小学校低学年では毎日20〜30分の読書が義務付けられます。読む内容は、日本の教科書のような抜粋文ではなく、先生が指定した本、あるいは子どもが選んだ本を丸ごと一冊読まなければなりません。

小学校に上がったばかりの子どもに大量の読書を要求するのは、読書習慣を確立し、リーディングフルエンシー(読みの流ちょうさ)を育てることが、読解力につながるからです。そのため、どの先生もリーディングに熱心で、あの手この手で、子どもたちの読書を推進します。

両親がこのような実態を知らないまま、子どもが小学校に通い始めると、高度な英語力を要する授業にだんだん付いていけなくなります。名前が書けて簡単な単語が読めるというレベルでは、とてもランゲージアーツの授業には対応できません。

 

学習英語力の壁を
乗り越えるには

バイリンガルの子どもの英語力がネイティブよりも劣るのは当たり前です。授業に付いていくには、ネイティブ以上に本を読み、英語力を向上させる努力をしなければなりません。

家庭でも「読書教育」をサポートしてください。慣れない英語の活字を追うことは子どもにとっては苦痛です。それを乗り越え、学習英語力を身に付けていくには、両親の温かい支援が不可欠です。

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

 

 

 

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